研究課題/領域番号 |
23K16835
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
江尻 愛美 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90738890)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | コーピング / フレイル / 精神的健康 / 介護予防 / 健康生成論 |
研究実績の概要 |
加齢に伴う身体機能の低下は抑うつ症状等の精神的健康の低下と関連しているが、中には身体的にフレイルであっても精神的健康を維持できている高齢者もいる。こうした高齢者では、加齢に伴う変化を受け入れ、うまく付き合うという対処行動(コーピング)を取っていると考えられ、超高齢社会においてはこのようなアプローチこそ重要である。本研究は、身体的にフレイルな高齢者において精神的健康を保つための有効なコーピングとは何かを明らかにすることを目的としている。研究初年度である2023年度は、身体的にフレイルでも精神的健康を保てている者の心理・行動特性を明らかにするため、①既存データの解析および②地域在住高齢者を対象とした包括的機能健診を実施した。 ①既存データの解析においては、身体的にフレイルな高齢者におけるヘルスリテラシー、ストレス対処、ソーシャルサポートの認知と抑うつの関係について横断的に検討した。その結果、ヘルスリテラシーを身に着ける、周囲からの情緒的なサポートに気づく、ストレス対処力を高めることで抑うつを抑制できる可能性が示唆された。これらの知見は、たとえ身体機能が低下してしまったとしても、適切な対処を行うことで精神的健康を保って生活することができる可能性を示しており、今後の高齢者福祉、介護予防を更に発展させる一助となり得る。これらの研究成果は、アジアオセアニア国際老年学会議、日本老年医学会学術集会、日本疫学会学術総会にて発表した。 ②地域在住高齢者を対象とした包括的機能健診では、587名(男性38%、年齢の範囲:65歳から92歳)が受診した。受診者のうち握力と歩行速度のいずれかが低下している身体的にフレイルな高齢者は178名であり、このうち抑うつ症状を示さない者(本研究ではコーピング高齢者と定義する)は136名だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
包括的機能健診において身体的にフレイルであっても抑うつを示さなかった者を対象としてインタビュー調査を実施する。身体機能低下への具体的な対処方法を把握するために、身体機能低下の自覚、身体機能低下をどうとらえているか、精神的健康を保つために具体的に心がけていること、日常生活を送る上で工夫していること等を聴取する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外学会参加のための旅費を計上していたが、健診実施時期と重複したため参加を断念した。今後、学会参加費や論文校正料、論文投稿料に使用する。
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