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2023 年度 実施状況報告書

連続時間隠れマルコフモデルとiPS細胞技術を用いた神経変性疾患進行の予測

研究課題

研究課題/領域番号 23K16994
研究機関広島大学

研究代表者

矢田 祐一郎  広島大学, 統合生命科学研究科(理), 特任助教 (80805797)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード神経変性疾患 / 連続時間隠れマルコフモデル / 筋萎縮性側索硬化症 / iPS細胞 / 疾患患者層別化
研究実績の概要

本研究の目的は、病態進行の速さに個人差が大きい疾患である筋萎縮性側索硬化症 (ALS) を対象として、遺伝的な理由等により患者毎に異なると考えられる病態進行速度を縦断的臨床データから予測する数理モデルを開発し、ALS患者由来のiPS細胞から分化させた運動ニューロンの表現型からの進行速度の予測可能性を検証することである。本年度は、患者ごとの病態進行速度の個人差を仮定した病態進行数理モデルである個別速度連続時間隠れマルコフモデルを構築し、縦断的臨床データから提案モデルにおける個人毎の進行速度を含んだパラメータを推定するための学習アルゴリズムを開発した。アルコリズムはEMアルゴリズムに基づいており、各状態での滞在時間の期待値、また各状態間の遷移回数の期待値を先行研究で報告されている方法で算出し、その値に基づいて進行速度を含むモデルパラメータを順次更新する形とした。開発したモデル・アルゴリズムを公開されているALSコホートの運動スコアデータに適用して、患者ごとの病態進行速度の推定及び進行パターンによる患者の層別化を行なった。層別化は学習したモデルを用いて患者毎に疾患状態の推移系列を推定し、推定された系列をクラスタリングすることで実施した。また、公開データに含まれるALS関連遺伝子変異及び患者iPS細胞由来の運動ニューロンから取得されたトランスクリプトームデータを用いて、推定された速度に関連する遺伝要因の同定を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度の研究計画は、既存の連続時間隠れマルコフモデルに対する学習アルゴリズムを元にして、状態遷移の速さに個人差のある連続時間隠れマルコフモデルでの学習アルゴリズムを開発し、実データへの応用を試みることであった。本年度は計画の通り実際に個別速度連続時間隠れマルコフモデルの学習アルゴリズム開発を完了し、それを公開されているALSコホートデータに適用して進行速度の推定を行なった。さらに、ALSの進行を捉えるためには障害がおきる筋機能の順番のパターンによる違いも解析する必要があると考え、当初の想定に加えて患者の進行パターンを層別化できるようにモデルの形を修正し、進行パターンの層別化アルゴリズム開発にも取り組み、層別化された患者のグループとそれぞれの患者の進行速度を推定することができた。また、推定された速度に関連する遺伝要因の同定にも着手した。研究計画で予定されていた内容に加えて層別化への対応ができたため、当初の計画以上に進展したと判断する。

今後の研究の推進方策

現在進めている開発モデルから推定された病態速度に関連する遺伝要因の同定を引き続き進める。また、他の筋萎縮性側索硬化症患者のコホートでも進行速度の推定と層別化を実施し、現在利用しているコホートとの結果を比較する。さらに、パーキンソン病などの他の神経変性疾患への開発モデル・アルゴリズムの適用を検討する。

次年度使用額が生じた理由

円安等の影響により次年度に予定する国際学会(口頭講演採択済み)への参加による支出の増加などを踏まえて、本年度の物品購入を見送ったため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 個人差の大きい筋萎縮性側索硬化症進行のモデリング2024

    • 著者名/発表者名
      矢田祐一郎、本田直樹
    • 学会等名
      定量生物学の会 第十一回年会
  • [学会発表] 速度とパターンによる筋萎縮性側索硬化症の層別化手法2024

    • 著者名/発表者名
      矢田祐一郎
    • 学会等名
      第8回理論免疫学ワークショップ
  • [学会発表] 機械学習モデルを使った神経変性疾患研究2024

    • 著者名/発表者名
      矢田祐一郎
    • 学会等名
      第15回理研けいはんなセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Estimation of hidden progression speed in amyotrophic lateral sclerosis2023

    • 著者名/発表者名
      矢田祐一郎、本田直樹
    • 学会等名
      第46回 日本神経科学大会
  • [学会発表] 連続時間隠れマルコフモデルによる個人差の大きい筋萎縮性側索硬化症進行のモデル化2023

    • 著者名/発表者名
      矢田祐一郎、本田直樹
    • 学会等名
      2023年度 日本数理生物学会年会
  • [学会発表] Modeling of heterogeneity of amyotrophic lateral sclerosis progress by continuous hidden Markov model2023

    • 著者名/発表者名
      矢田祐一郎、本田直樹
    • 学会等名
      第12回生命医歯薬情報学連合大会

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公開日: 2024-12-25  

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