研究課題
2023年度は、1)学習者・教師に数理最適化を用いた自動問題セット生成機能について、システム開発が完了し、学校現場に実装され、実証研究を開始することができた。これにより分析・評価のための学習ログが蓄積された。今後、蓄積された学習ログを分析することで、自動問題セット生成機能の評価を行う予定である。2)問題投稿・共有するためのシステムについては、概念設計および要件定義を行なった。2024年度中には開発を完了し、学校現場での実証を開始する予定である。3)問題作成された投稿問題を自動分類するためのアルゴリズムの検討および開発を行なった。数学の単元のラベルを付与するためのアルゴリズムが開発され、投稿された問題を分類するための準備を整えることができた。4)2023年度に社会的な話題にもなり、急速に進展した生成AIを用いることで問題作成支援が可能か検討した。具体的にはOECDが進めているPISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関するサンプル問題が、どの程度生成AIに解くことができるか評価した。その結果、選択式の読解問題に関して、英語の言語で解かせた場合と日本語の言語で解かせた場合を比べると、日本語の場合は正答率が30%低いことがわかった。これは生成AIを学習システムに用いる際の重要な知見であると考えられる。国立情報学研究所のLLM勉強会にも参画し、初等中等教育における試験問題のデータ整備を行うことで、生成AIのシステム開発への応用を試みた。また、教育データをAIで利活用するための講演に登壇し、発表を行い研究成果の発信を行なった。
2: おおむね順調に進展している
研究開始当初に研究機関を異動したために、研究環境を整えるための時間を要したが、ほぼ当初の計画計画通りに研究を進めることができた。また、学習者・教師に数理最適化を用いた自動問題セット生成機能についても、システム実装され、教育現場でシステムが利用され、学習ログを蓄積することもできた。
2024年度は、問題投稿・共有機能の開発を行い、学校現場での実証研究を予定である。学習者によって作成された問題を共有することで、どのような学習効果が得られるか評価できるように実証研究の準備を進める。作成投稿された問題に対して、自動分類アルゴリズムの適用を検討する。2023年度に引き続き、生成AIを用いた問題作成支援方法についての検討も継続して行う。
2023年度は、当該研究分野の国際会議AIEDなどが日本国内で行われたために旅費を抑えることができた。歴史的な円安、物価高のため、今後、国際会議などに出席する費用や物品購入費が膨らむと考えられたため、次年度使用額を海外旅費等で使用する計画である。
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