研究課題/領域番号 |
23K17062
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
加藤 謙吾 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 特命助教 (00965709)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アルミニウム / 晶出制御 / 熱力学 |
研究実績の概要 |
カーボンニュートラルの実現へ向けてアルミニウムのリサイクルは必須の課題である。現状アルミニウムスクラップは不純物許容値の低い鋳造材に主に利用されているが、鋳造材の主な用途であるエンジンブロックは自動車の電動化に伴って今後需要が減少すると考えられている。したがってアルミニウムスクラップからの不純物の除去ならびに無害化による展伸材へのアップグレードリサイクルが必要不可欠である。Al合金の主な添加元素は精錬による除去が困難であるが、固液共存状態において固相と液相で濃度差が生じる。不純物が液相中へ濃化すると、固液界面で局所的に濃度が高くなることで不純物が単体または化合物として晶出する可能性がある。そこで本研究では不純物の晶出制御・無害化によるAlのリサイクルプロセスを提案する。固液共存状態における不純物を含んだアルミニウム合金からの不純物の晶出条件を把握し、無害化の可能性を探索する。本年度はまず実験準備として不純物を含んだアルミニウム合金を一方向凝固させるための実験装置を構築した。代表者はこれまでに溶融Al合金中におけるMgとの親和力を利用した新たな不純物除去原理を提案し、アルミニウム合金からの除去が困難な元素であるSiをMg2Siとして晶出・分離できることを明らかにするとともに、溶融Al-Mg-Si合金中からのMg2Si晶出に関する熱力学データを得ている。そこでAl-Mg-Si合金を実験試料として一方向凝固実験を行い、Mg2Siの晶出挙動を調査した。さらに、溶融Al-Mg-Si合金中からのMg2Si晶出に関する熱力学計算と凝固モデルを組み合わせて固相率に対する化合物の晶出量を推定する解析モデルを作製し、実験試料の観察結果と対比した。以上より固液共存状態における溶融アルミニウム合金中不純物の晶出挙動を評価するための実験・解析の準備が概ね完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルミニウムスクラップからの不純物除去によるアップグレードリサイクルを目指して、固液共存状態における溶融アルミニウム合金のからの不純物の晶出制御・無害化の検討を進めている。本年度は実験準備として不純物を含んだアルミニウム合金を一方向凝固させるための実験装置を構築した。代表者のこれまでの研究により不純物の晶出に関する熱力学データが得られているAl-Mg-Si合金を対象として一方向凝固実験を実施し、晶出物の観察を行った。加えて不純物晶出に関する熱力学計算と凝固モデルを組み合わせて、固相率に対する化合物の晶出量を推定する解析モデルを作製し、実験試料の観察結果と対比した。以上より固液共存状態における溶融アルミニウム合金中不純物の晶出挙動を評価するための実験・解析の準備が概ね完了した。おおむね当初の計画通り研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
カーボンニュートラルの実現へ向けてアルミニウムのリサイクルは必須の課題である。現状アルミニウムスクラップは不純物許容値の低い鋳造材に主に利用されているが、鋳造材の主な用途であるエンジンブロックは自動車の電動化に伴って今後需要が減少すると考えられる。したがってアルミニウムスクラップからの不純物の除去ならびに無害化による展伸材へのアップグレードリサイクルが必要不可欠である。本研究ではアルミニウムのアップグレードリサイクルへ向けて不純物の晶出制御・無害化の検討を進めている。昨年度は固液共存状態における溶融アルミニウム合金中不純物の晶出挙動を評価するための実験・解析の準備を行った。本年度は昨年度に引き続きアルミニウム合金からの除去が困難な元素であるSiに着目して検討を進める。Siを含んだアルミニウム合金の一方向凝固実験を行い、不純物の晶出挙動を調査する。実験結果と解析モデルによる解析結果を総合し、不純物の晶出を制御するためのパラメータを抽出する。さらにAl合金から不純物を効果的に晶出させるための合金系の探索も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は実験準備を主とし、不純物を含んだアルミニウム合金を一方向凝固させるための実験装置の構築と化合物の晶出量を推定する解析モデルの作製に取り組んだ。そのため実験に必要な消耗品等が当初想定より少なかったため次年度使用額が発生した。次年度は本年度に作成した実験装置を用いて実験を実施するため必要となる実験試料、耐火物、ガス等の消耗品類と得られた成果の発表に予算を使用する計画である。
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