本研究は、持続可能な仲介行動の意思決定モデルの開発と、仲介者が取るべき持続可能な食のサプライチェーンの達成シナリオの設計を目的とする。2023年度ではライフサイクルアセスメント(LCA)によるシナリオの定量評価と持続可能な食のサプライチェーンの達成シナリオ候補の選定を主に行なった。 LCAによるシナリオの定量評価については、まずは文献調査を実施し、日本の生鮮野菜のサプライチェーンの環境影響を評価するためのモデルを構築した。このモデルでは、卸売市場をはじめとする川中セクターを反映させた、仲介者が取りうるシナリオが設定されている。そして構築したモデルを用いて、日本の生鮮野菜のサプライチェーンの環境影響を評価した。なお、データは、国産野菜の生産から消費までに投入される原料やエネルギー、生産物、及び環境負荷物質(CO2排出量等)を用いた。野菜の流通に関するデータはインタビュー調査や文献調査から係数を設定した。これらデータを用いて生産物重量単位当たりの環境負荷を計算し、シナリオ各に算出した。 持続可能な食のサプライチェーンの達成シナリオ候補の選定については、算定結果から仲介者が取りうるシナリオとして、持続可能な食のサプライチェーンの達成に寄与するシナリオ候補を検討した。 さらに、2024年度以降の基礎づくりとして、卸売市場が果たす役割に関する統計分析を行った。 現時点の結果は国内外の関連学会にて口頭・ポスター報告を定期的に行うことで、幅広い視座からのフィードバックも獲得できている。
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