研究課題/領域番号 |
23K17099
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小田 なら 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (70782655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 医士 / 医師 / 医療専門職 / ベトナム民主共和国 / ベトナム共和国 |
研究実績の概要 |
研究期間の1年目にあたる2023年度には、主に、ベトナムに残る「医士」職の成立に関する公文書の残存状況を探りながら資料を閲覧する作業をおこなった。 その結果、第一に、文書調査からは現在の「医士」に相応する専門職がベトナム民主共和国において設定されたことが確認できた。ハノイの第三国家文書館所蔵の資料からは、インドシナ戦争の開戦直後から、3年間の教育プログラムとして「医士」を養成する学校を開設したことが分かった。同文書館には医療行政の文書群に医士に関する一定の記録が残っていることが目録から確認できたものの、文書館での滞在期間(2週間)に応じた分量しか閲覧許可が出ないため、閲覧できたものは1960年代半ばまでの一部にとどまっている。 第二に、南北分断期のベトナム共和国でも「医士」が名称として使用されていたものの、その意味は上記のベトナム民主共和国とは異なっていたことが確認できた。ホーチミン市の第二国家文書館所蔵の資料からは、ベトナム共和国政府下の医療行政において、「医士」の名称が西洋医学の医師を指す呼称として用いられていたことが分かった。 一方、聞き取り調査では、大きく以下の2点を確認した。一つ目に、戦時中に養成された医士は、終戦後には国営企業・機関直属の医療従事者として労働者の健康管理にあたっていたこと。二つ目に、現在、「医士」は法的には東洋医学分野でのみ養成されることになっているが、実態としては西洋医学分野でも「医士」教育がおこなわれていることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたとおり、2か所の公文書館で「医士」に関する資料を閲覧でき、コピーを収集できたためおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
収集した資料を引き続き読み込むとともに、2023年度に見ることができなかった資料を閲覧する。さらに、「医士」を養成していた機関などをとおして、1950年代以降に「医士」として活動していた人々への聞き取り調査をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
渡航計画に変更が生じたため、余剰が生まれた。来年度の旅費に加算して使用する。
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