研究課題/領域番号 |
23K17136
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 奈緒子 (町田奈緒士) 名古屋大学, ジェンダーダイバーシティセンター, 特任助教 (20945646)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 発達障害 / トランスジェンダー / 主体 |
研究実績の概要 |
トランスジェンダーの人々における発達障害を持つ割合の高さが指摘される状況において、発達障害を持つトランスジェンダー(NDTG)への支援体制の構築が喫緊の課題となっている。そうした背景に鑑み、本研究では、次に掲げる3点;①発達障害を持つトランスジェンダー(NDTG)当人の心理的課題、②NDTGの子どもを持つ親の心理的課題、③NDTG当人と親を取り巻く支援体制の中核を成す要素の解明を目的としている。 1年目に当たる2023年度は、国内外のトランスジェンダーならびに発達障害、そして両者の併存に関する文献調査を実施した。加えて、2022年度に予備的に実施していたNDTGの人々に対するインタビュー調査の分析を行い、国際学会にて口頭発表を実施し、関連分野の研究者から意見を聞く機会を得た。それにより、NDTG当人が意識化・言語化できる心理的課題は国際的にみると解明されつつあるものの、語れないこと(当人にとっての無意識的な次元)を加味しながら心理的課題を探究する必要性が見出された。加えて、インタビューの分析ならびに学会での意見交流によって、NDTGの人々の自己意識や主体のあり方に固有の特徴が見られ、自己意識や主体のあり方との関係性から彼らの心理的課題を解明する必要性が明らかとなった。そこから、人のこころの無意識を探究することに適した深層心理学の視点を導入しながら、NDTGの人々の自己意識や主体のあり方と心理的課題との関係性を解明するための質問紙調査を設計した。 次年度には、質問紙調査を実施し、分析・論文化を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたインタビュー調査に先立って、質問紙調査を実施する必要が生じたものの、調査設計がほぼ完了し、R6年度に配布できる準備が整っていることから、概ね順調に進行していると言える。加えて、調査と並行し、学会発表を行うとともに、大学等での講演活動を行い、現場に知見を還元できている。
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今後の研究の推進方策 |
設計した質問紙を、自助会やトランスジェンダー専門外来を持つクリニックに配布依頼することにより、データ収集ならびに分析を実施し、結果を論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に変更が生じたことと、異動に伴い、物品を次年度に購入する必要性が生じたことから、繰越を行った。
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