研究課題/領域番号 |
23K17162
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
武田 将季 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (20875108)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 超高齢社会 / 公共図書館 / 認知症 / 図書館サービス / ユニバーサルサービス |
研究実績の概要 |
本研究課題では,資料探索に関する認知行動特性と,認知行動特性に起因する具体的な困難,その要因や度合いを明らかにする.その上で,これらの困難を克服する方法と併せて, 資料探索におけるユニバーサルサービスガイドラインの作成と公開に取り組むことを目標としている. 研究初年度は,資料探索に関する認知行動特性を理解するための調査準備を進めた.具体的には,大規模調査に向けて認知症高齢者への聞き取りを行い,調査実施時にポイントとなる点を整理した.加えて,より精緻なモデル化を目指し,資料探索を行うコンテクストを特定することとした.そのために,これらの人々が資料探索を行う学習の場面を取り上げ,その時の認知や心理を分析した. これらを実行するにあたっては,実験を行う予定の公共図書館を訪れ,インタビューおよびパイロット調査を行った.また,コンテクストの特定にあたっては,質問紙調査を実施した.その結果,次なる実験において,一部で変更する必要が確認されたが,研究の精度をより高めるための変更である.また,ここまでの研究結果をまとめ,国際会議および学術雑誌への投稿を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パイロット調査は当初の計画よりもやや小規模となったが,実験実施の問題点等はかなり明らかになっている.これらの結果をうけて2年目は,資料探索に関する認知行動特性を同定するための実験に進める.実験計画を一部で変更するものの,パイロット調査の結果,より解像度を高めて調査する方法が明らかになったためであり,研究上,順調に進んでいると判断できる.また,コンテクストを含めた分析を可能とした点において,研究の精度を高めることが可能で,当初の計画以上に順調に進んでいると言える.
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今後の研究の推進方策 |
図書資料を同定する際の認知行動特性を理解するための実験を行う.オンラインでの実験にすることで,より大規模に行うことを可能とする予定である.また,情報探索は,そのコンテクストによる影響をより大きく受けることから,コンテクストを併せて解釈するためにも,実験と並行して,実世界で,どのような場合に資料探索を行うのかを,より明らかにする必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
パイロット調査の結果,行動分析にあたってはウェアラブルカメラによる記録が有効と判断された.そのため,RFIDタグ等の購入を見送った.次年度の実験等においては,対象となる参加者等を増やすことで多様な資料探索を分析する予定である.その際に必要となる調査費に充てる.
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