研究課題/領域番号 |
23K17173
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研究機関 | 花園大学 |
研究代表者 |
谷田 勇樹 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (80800218)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ワーキングメモリ / 言語進化 |
研究実績の概要 |
近年、言語がヒトの認知にとって使いやすくなるように構造化されているという仮説が提案されている。この仮説の妥当性は、大規模な言語データベースを分析することによって検討されている。たとえば単語の長さは情報の受信効率を上げるために構造化されていることが報告されている。本研究では、言語がワーキングメモリの性質に依存して構造化されているという仮説を提案し、当該仮説の妥当性を検討することを目的とする。これまで、言語の構造がワーキングメモリの性質に依存していることを示すエビデンスとして、日本語の標準語の構造が報告されていた。すなわち、その言語環境において出現確率の低いアクセントパタンを持つ単語は、心象性の高い意味を持つ傾向にあるという構造である。しかしこのような構造が他の言語体系でも存在するのかどうかは明らかでなかった。そこで本研究では京阪方言のアクセント構造を検討した。大規模な方言データベースに対して共時的分析を行った結果、京阪方言においても同様の構造を確認することができた。さらに、大規模な方言データベースに収録されている過去の話者のアクセントパタンを分析することで、通時的な検討も行った。言語の構造がワーキングメモリの性質に依存しているのであれば、出現頻度の低いアクセントパタンや心象性の低い意味を持っている語は、そのアクセントパタンが歴史的に変化していきやすいと予測された。実際に通時的分析を行うと、19世紀終盤から20世紀初頭に生まれた者が使用していた京阪方言において、出現頻度の低いアクセントパタンや心象性の低い意味を持っていた語は、より若い話者の話す方言においてそのアクセントパタンが変化していることが明らかとなった。以上より、本年度は言語の構造がワーキングメモリの性質に依存しているというエビデンスを、京阪方言で(1)共時的に、そして(2)通時的に得ることができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は京阪方言の分析を予定していなかった。しかし対象言語を歴史的データが整備されている京阪方言にすることによって、共時的エビデンスにくわえて、通時的エビデンスを得ることができたため、このような評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
データベースに保存されていたアクセントパタンを分析するだけでなく、現在の話者の間で予測通りのアクセント変化が生じているのかを検討するため、京阪方言話者に協力をあおぎ、多数の単語のアクセントパタンを収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は京阪方言話者をあつめ、彼らの発話する単語を収録していく必要がある。しかし想定していたよりもおおくの時間を拘束する必要が出てきたため、用意すべき金額も多くなることが想定される。そのため、本年度の予算を残した。次年度使用額は、次年度請求分とあわせて、増加した謝金に当てる計画である。
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