研究課題/領域番号 |
23K17210
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
宮島 浩樹 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特任教員(助教) (80905589)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 細胞足場 / ハイドロゲル / 幹細胞 / 細胞分化 / 光制御 |
研究実績の概要 |
生体内の細胞は周囲の細胞やその細胞が接着する細胞足場など、その細胞を取り巻く周辺環境によって様々に影響を受け、各細胞の機能や生理活性が調整・維持されている。生体環境のような細胞に影響を与える特異的環境を人為的に構築することができれば、目的とする機能を有した細胞集団の獲得や細胞機能のコントロール等の生命現象の制御やその現象の根本的理解が見込まれる。また、細胞の分化状態をコントロールすることで、目的とする細胞のみを選択的に獲得し、組織モデル構築などに応用することができれば、将来の再生医療技術の発展に向けた大きな技術貢献が期待できる。本研究では、光刺激によって細胞の分化誘導を調整する材料を設計し、その材料を幹細胞の細胞足場として応用し、光刺激のタイミングで材料に接する細胞の分化誘導を促進することで、材料中の細胞に対して分化情報を書き込む(プリンティングする)ような細胞分化誘導技術の開発を目指した。初年度となる2023年度は光刺激に反応する分子と分化誘導因子を化学的に結合させた分子を合成し、ハイドロゲルを構成する高分子鎖に合成した分子を組み込むことで目的のハイドロゲル細胞足場を作製した。得られたハイドロゲルに様々な光を照射することでハイドロゲルを光で刺激し、その光刺激に応じて分化誘導因子がハイドロゲル中から放出されることを確認した。また、得られたハイドロゲルを間葉系幹細胞の分化培養に応用し、間葉系細胞の分化状態を評価するための培養系の構築及び培養後の細胞の解析系について検討し、目的とする実験系の実証・評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計した分子の合成及び得られた分子を組み込んだハイドロゲル作製を進めることができた。また作製したハイドロゲルを用いた細胞の分化培養について調査を続けており、着実に進めることができており、当初の計画通りに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
作製したハイドロゲルを用いた細胞分化誘導を実証する。その際に光の波長や強度、照射時間などハイドロゲルに対して付与する光刺激の条件を様々に変え、そのときの細胞の分化状態を評価することで、細胞分化の段階的な調整が可能かどうかについても調査・検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を計画していた光源装置の購入を2023年度は見送り、2024年度に購入を予定している。
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