研究課題/領域番号 |
23K17241
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
麻生 将太郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (80881945)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 妥当性 / データベース / 病名 / 血液検査 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、レセプトデータの一種であるDPCデータベースに記録された 病名と、血液検査の結果などを用いた診断名を比較し、DPCデータベースの入院時 併存症病名の妥当性を検証することである。 本年度は、研究の体制を整えるために、血液検査の結果が付随したレセプトデータベースを購入し、解析環境を整えている。データセットは、メディカル・データ・ビジョンから、救命救急管理料、もしくは集中治療管理料を加算された患者を対象としたデータセットを購入した。購入したデータセットを用いて、DPCデータベースの入院時併存症の病名の妥当性を、血液検査の結果を基に検証する。データセットはサーバー内に格納し、リレーショナルデータベースソフトを用いて、データクリーニングできるようにしている。次年度は、リレーショナルデータベースソフトを用いて、データクリーニングを行う。レセプトデータベースから腎不全、肝機能障害、播種性血管内凝固症候群とその病名に対応する血液検査の結果、処方や処置を抽出する。データクリーニングが完了したのち、統計解析ソフトでデータ解析を行う。データ解析は、下記の3つを行う予定である。(I)血液検査の結果を用いて、入院時併存症病名の相関を調べる、(II)入院時併存症病名と処方や処置とを組み合わせた場合と、入院時併存症病名だけの場合の妥当性を比較する、(III)処方や処置による入院時併存症病名の代用の妥当性を検証するを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に必要な環境は整いつつあり、データクリーニングの実行とデータ解析を実施できる段階にあるため
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今後の研究の推進方策 |
(I)血液検査の結果を用いた入院時併存症病名の妥当性の検証 入院時併存症に、国際疾病分類第10版で播種性血管内凝固症候群(D65)、腎不全(N17-N19)、肝機能障害(B19.9、E10.6、E11.6、E14.6、K70.9、K70.9、K71.0、K71.9、K76.9、K91.8、O26.6)に該当する病名コードが記録され、さらに入院時の血液検査で、血小板数、凝固能(PT、FDP、フィブリノーゲン)、クレアチニン、尿素窒素、肝機能(AST、ALT、LDH、ALP、γ‐GTP)、ビリルビン値の結果が記載されている患者を対象とする。上記の対象者の病名と血液検査値が異常値であるケースとの相関や陽性的中率を調べる。また、血液検査の結果の値を正常範囲内と異常値の2つに分けて、病名との一致率を調べる。 (II)入院時併存症病名と処方や処置との組み合わせによる妥当性の検証 研究(I)で妥当性を検証した病名「播種性血管内凝固症候群」、「腎不全」、「肝機能障害」に処方や処置を組み合わせた妥当性と、病名だけの妥当性を、血液検査の結果を基に比較する。臨床的に使用が適切とされている透析などの処方や処置を選択する。 (III)処方や処置による入院時併存症病名の代用の妥当性の検証 実臨床ではその疾患と診断されていても、何らかの理由で入院時併存症病名に記載がない場合がある。このため、病名が記載されていなくても処方や処置で代用できるかを検証する。研究(I)の結果を基に、血液検査の結果から播種性血管内凝固症候群・腎不全・肝機能障害と診断されるにもかかわらず病名が記載されていない患者を対象とする。病名がなくても、処方や処置が病名の代用になるかを血液検査の結果を基に、代用できる処方や処置の組み合わせを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
サーバー環境内の構築ができていないため、統計解析ソフトやリレーショナルデータベースソフト、サーバーの購入ができていないため。
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