研究課題/領域番号 |
23K17245
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
加葉田 大志朗 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (40793435)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 統計学 / 因果推論 / 疫学 / 観察研究 |
研究実績の概要 |
データベース研究をはじめ,治療の割り当てが無作為化されていない研究においては,処置群間の患者特性が不均衡となることで,処置効果の推定値にバイアスが生じる.この処置群間の患者特性の不均衡を低減し,バイアスの小さい推定値を得るための手法として,傾向スコアを用いた推定量がよく用いられる.この際,十分にバイアスの小さい処置効果を推定するためには,適切な傾向スコアの推定が必要となる.適切な傾向スコアを推定するために,最近では機械学習手法が活用されることも多い.機械学習を用いて傾向スコアを推定する際には,データの内容に応じて適切な機械学習手法を選択する必要がある.しかし,数多の機械学習手法の中から,適切な手法を選択することは容易ではない.その課題を克服するために,複数の機械学習手法を用いて複数の傾向スコアの候補を推定し,それらを重みづけて統合する平均化傾向スコアが提案されている.従来の平均化傾向スコアでは,患者特性の分布の均質化に強く貢献する傾向スコア候補が,より強く反映されるように重みづけされる.これにより,研究者が複数の機械学習手法の候補を利用することが可能となり,機械学習手法の選択に依存した治療効果推定量の性能の低下を回避できる. ただし,従来の平均化アプローチでは処置効果推定量におけるバイアスが十分に低減できないケースも存在する.本課題では,より広範な状況下でバイアスの小さい処置効果推定を可能とする機械学習手法を分析に組み入れられるよう,既存アプローチの課題を克服する新しい平均化アプローチを提案することに取り組んでいる.本年度では,提案手法の理論的内容の整理,シミュレーションによる性能の評価,実際の臨床データへの適用を行った.シミュレーションの結果では,幅広い状況下で提案法が既存法の性能を上回ることが確認された.これらの結果は現在,査読付き国際専門誌に投稿し,査読を受けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題の主目的である新しい推定量の提案,シミュレーションによる性能評価,臨床データへの応用についておおむね完了しており,当初の計画以上に進展している.査読付き国際専門誌に投稿し,査読を受けている.
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今後の研究の推進方策 |
実験結果をまとめた論文は現在査読付き国際専門誌に投稿し,査読を受けている.今年度は査読の結果をうけて,より広範な状況下での実験の追加,また他データへの適用等を計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該プロジェクトで利用するコンピュータ購入を検討後,納入まで期間を要することで今年度使用額の大半を次年度に繰り越すこととなった.
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