研究課題/領域番号 |
23K17284
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
内藤 久裕 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00335390)
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研究分担者 |
Ramdani Fatwa 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40969672)
中野 優子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60648674)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 光学衛星画像 / 合成開口衛星画像 / 収穫予想 / 予測 / 計量経済学 / 気候変動 |
研究実績の概要 |
この研究の目的は、人口衛星データを経済学分析に役に立てるための基礎的データベース作成である。この研究では、人工衛星画像だけを使った農業収穫予測のためのground truthの作成とモデルの作成、道路の質の測定のためのground truthの作成とモデル推定、交通量推定による経済活動の推定の3つを目指している。
2023年度は、以下のような作業をおこなった。まず、農研機構の研究者の協力を得て、アフリカのマダガスカルにおける稲作のground truthデータを取得した。このデータは10mの正方形の稲作値で坪刈りを行い、そこでの田植え日時、刈りいれ日時、収穫、その正方形のGPSが分かっている情報である。この情報とSentinelという5mの解像度の衛星データを組み合わせて、衛星画像からどの程度収穫量が予想できるかを統計的手法を使って予測した。その結果、R-squareに関して,衛星画像以外の情報を全く使用しない場合、予測率は約70%であることが判明した。また、ノイズをどのように下げるかも検討した。R-squareを上げるためには、毎日の衛星データを予測に使うのではなく、1週間分の衛星データの平均値をとり、その平均を予測に使う方が精度が上がることが判明した。さらに分析から、雨期の天気に影響を受けやすいことも判明した。 雨期においての、衛星画像がうまく手に入らないという問題のために、合成開口レーダを用いた研究も行った。合成開口レーダによる画像は、衛星自身からレーダービームを発射し、その反射情報から画像を生成するので、夜間や雨天でも画像が手にはいる。光学衛星画像情報に加えて、合成開口レーダーによる画像情報を加えた場合、収穫量予想のR-squareは75%程度に上昇することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、収穫のデータとGPS情報を確保し、衛星データによってどの程度収穫が予想できるか、初期の実験的な研究をおこなった。サンプル数が300程度にも関わらず比較的高いR-squareが確保できたことは、非常に勇気づけられる結果である。
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今後の研究の推進方策 |
この夏タンザニアを訪問し、道路状況のground truthデータをあつめ、道路の質を衛星データを使って予測できるかを検証する。またタンザニおいて、どのポイントで収穫のデータを集め、それを衛星データと比較するかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
連絡が7月に来たので、タンザニアでの調査に間に合わず、2024年度に現地調査を行うことになった。そのために予算執行に遅れが出ているが、他のデータを使うことにより、研究のスピード自体は予定通り進んでいる。
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