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2023 年度 実施状況報告書

水系と非水系の両方で高速輸送機能を発現するロバストなナノチャネル輸送膜の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K17369
研究機関東京工業大学

研究代表者

松本 英俊  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40345393)

研究分担者 林 靖彦  岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50314084)
徳増 崇  東北大学, 流体科学研究所, 教授 (10312662)
羽田 真毅  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70636365)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワードカーボンナノチューブ / ポリパラキシリレン / 酸素プラズマ処理 / X線散乱 / 分子動力学
研究実績の概要

本研究では、化学的安定性に優れたカーボンナノチューブ(CNT)を輸送チャネルとし、さらに化学的安定性に優れた高分子と複合化することで、有機溶媒中でも使用できる耐久性と海水の逆浸透にも利用できる耐圧性を兼ね備えたロバストなナノチャネル輸送膜の開発を目的とする。
本年度は、輸送チャネルである二層CNTアレイの精密合成とマトリクスとしてポリパラキシリレン(パリレン)を用いた複合膜の作製条件の最適化を進めた。具体的には、熱化学気相成長法によりシリコン基板上に平均内径3.5 nm、高さ40~100 μmの垂直配向CNTアレイを合成し、パリレン製膜装置を用いて気相重合によってCNT間の空隙をポリパラキシリレンで充填した後、酸素プラズマ処理を行った。特に複合膜の表面平滑性と膜厚の精密制御を目指して、酸素プラズマ処理条件(出力、酸素流量、処理時間)の最適化を進めた。これによって膜厚の精密制御が可能になり、作製された複合膜についての走査電子顕微鏡観察から表面均一性の向上が、放射光X線散乱測定から複合化後も高いCNT垂直配向性の維持されていること(配向関数0.89)がそれぞれ明らかになった。また、透水試験により複合膜の透水量が26℃近傍で急激に変化する特異な温度依存性を示すことも確認した。さらに作製された複合膜について電子線回折測定用の切片試料の作製にも着手した。
これらの実験と並行して、CNT内部の水の流動現象解明のため、分子動力学を用いたCNT内水分子拡散特性の計算系を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二層CNTアレイの精密合成とマトリクスとしてポリパラキシリレンを用いた複合膜の作製条件の最適化については概ね順調に進捗している。本年度は、製膜過程のうち、特に酸素プラズマ処理条件の最適化に注力し、複合膜の表面平滑性の向上と膜厚の精密制御を達成できた。

今後の研究の推進方策

次年度は、本年度最適化した製膜条件を基にCNT密度と膜厚の異なる複合膜を作製し、種々の圧力勾配・温度条件下における水および有機溶媒透過挙動について調査を進める。併せて輸送チャネルとなるCNT内部の水分子の構造解析も進めていく。
さらに、本年度構築した計算系を利用し、実際に作製された複合膜の構造情報と全圧ろ過実験条件を使って計算を進め、透水試験から得られるCNT1本あたりの透水量の結果との関係を調査することで、透水挙動の解明を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

高密度CNTアレイの合成に使用するシリコン基板(消耗品)の購入を予定していたが、シリコン基板の価格高騰により当初予算と発注時見積に大きな乖離が生じた。このため予算を繰り越し、2024年度の研究費と合算して購入する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] N‐DMBI Doping of Carbon Nanotube Yarns for Achieving High n‐Type Thermoelectric Power Factor and Figure of Merit2024

    • 著者名/発表者名
      Hiroo Suzuki, Jun Kametaka, Shinya Nakahori, Yuichiro Tanaka, Mizuki Iwahara, Haolu Lin, Sergei Manzhos, Aung Ko Ko Kyaw, Takeshi Nishikawa, Yasuhiko Hayashi
    • 雑誌名

      Small Methods

      巻: 8 ページ: 2301387

    • DOI

      10.1002/smtd.202301387

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ナノファイバー材料の機能設計:ナノ空間の利用を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      松本英俊
    • 学会等名
      第52回繊維学会夏季セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 化学気相成長法で合成したカーボンナノチューブフォレストの紡績性発現要因2023

    • 著者名/発表者名
      木下和成
    • 学会等名
      2023年度応用物理・物理系学会中国四国支部合同学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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