研究課題
挑戦的研究(開拓)
本研究では、脂質振動と言う新しい概念の生理学的意義を腋芽の成長制御に注目して解明する。具体的には、シロイヌナズナの異なる器官における脂質膜組成と代謝フローの概日リズムを明らかにし、変動する脂質代謝の情報を蓄積した「脂質時計」を描く。次に、膜脂質の不飽和化に見られる概日リズムが腋芽の成長制御に果たす役割を明らかにすることで、脂質振動の生理学的意義を理解する。
植物では光に依存しない生物時計による代謝変動はほとんど研究されておらず、膜脂質に着目した点は独創性が高い。また、研究方法も膜脂質の不飽和度が概日リズムを刻むという独自の結果に基づいて綿密に計画されており、植物科学に概日リズムと体内脂質に関する新しい概念を提唱できることが期待される。加えて、将来的には有用植物の育種などバイオテクノロジーにもインパクトを与える可能性はある。