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2023 年度 実施状況報告書

シンクロトロン・プロテオミクス・高精度年代測定を用いたジャワ原人研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 23K17404
研究機関東京大学

研究代表者

海部 陽介  東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20280521)

研究分担者 竹下 欣宏  信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (00578271)
近藤 恵  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40302997)
荻原 直道  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70324605)
蔦谷 匠  総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (80758813)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2027-03-31
キーワード人類進化 / ジャワ原人 / 高解像度CT撮影 / 古代プロテオミクス解析 / 年代測定
研究実績の概要

超高解像度マイクロCT撮影:インドネシアの2機関から原人化石およびその可能性がある化石資料20点ほどを、それぞれの機関所属の現地研究者に運搬してもらい、超高分解能を誇るSPring-8の実験施設(兵庫県)などにおいてマイクロCT撮影を行った。撮影結果は極めて良好で、従来の産業用CTスキャナーによる撮影では実現できなかった詳細な形態分析への道を開く大きな成果となった(変更された現地の調査許可制度の下その取得に奔走してくれた現地共同研究者・関係者に感謝する)。あわせて、大容量の撮影データを解析できる作業環境の構築(高性能ワークステーションの設置など)も行った。
原人化石の野外調査・年代測定:2023年8~9月に現地調査を実施すべく、事前に現地へ足を運んで準備を行っていた。しかし新しくなった現地調査許可制度に現地共同研究者も対応ができず、想定外の時間不足で許可取得が間に合わなくなり、本年度の野外調査は見送った。その間に来年度の調査実現に向けて課題を整理し検討を重ね、ウラン系列年代測定の新手法の適用や、ルミネッセンスを用いる年代測定法を導入すべく海外から新たな共同研究者を招聘することなどを決めた。また現地対応機関と協定を結び、来年度の調査許可取得に備えた。
プロテオミクス解析:更新世化石の古代プロテオーム分析に向けて、国内外の更新世化石を収集し、一部をプロテオーム分析に供した。古代プロテオーム分析によって性別が判定できることを確かめるため、日本の古人骨についてエナメル質を採取し、性別判定を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

インドネシアの2つの研究機関の協力を得て、多数の貴重なジャワ原人化石についてSPring-8などで超高解像度CT撮影を実施できたこと、その結果が素晴らしく良好なものであったことは、大きな前進であった。
一方で現地の制度変更の影響を受けて野外調査の許可が間に合わず、予定していた現地調査の実施できなかったため、総合自己評価は「やや遅れている」とした。ただし、この問題はインドネシアで活動するどの研究チームも共通に抱えているものであり、仕方がない面がある。来年度に調査を実施できれば十分挽回できるものなので、悲観的には考えていない。

今後の研究の推進方策

撮影済みのCTデータ解析法について検討していく。
ジャワ原人頭骨にみられる「歪み」についての解析。
野外調査許可を取得して、ソロ川流域におけるジャワ原人化石の野外調査と年代測定資料の採取を行う。
ジャワ原人と同一層準から出土している動物化石を用いて、プロテオミクス解析のテストを行う。

次年度使用額が生じた理由

2023年夏に予定していた野外調査が現地調査許可の関係で実施できなかった。この調査は2024年夏に順延して実施する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [学会発表] Diversity and evolution of archaic eastern Asian hominins: A synthetic model of the fossil and genetic records.2023

    • 著者名/発表者名
      Kaifu, Y., Athreya, S.
    • 学会等名
      “Meet the Chibanians: Hominin Taxonomy in the Middle and Early Late Pleistocene.” A Wenner-Gren/SSHRC Workshop on hominin taxonomy.
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Current understanding of Homo floresiensis2023

    • 著者名/発表者名
      Kaifu, Y.
    • 学会等名
      Commemoration of the 20th Anniversary of Homo floresiensis Discovery
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 人類進化における頭蓋顎顔面形態の変遷2023

    • 著者名/発表者名
      海部陽介
    • 学会等名
      第41回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会特別講演
    • 招待講演
  • [学会発表] 計算解剖学に基づく初期ホモ属の脳形態の数理形態学的復元2023

    • 著者名/発表者名
      天野 英輝、田邊宏樹、荻原直道
    • 学会等名
      第77回日本人類学会大会
  • [図書] 最新地学辞典(人類学関連項目の一部)2024

    • 著者名/発表者名
      海部陽介
    • 総ページ数
      2046
    • 出版者
      平凡社
    • ISBN
      9784582115086
  • [図書] 古生物学の百科事典(人類学関連項目の一部)2023

    • 著者名/発表者名
      海部陽介
    • 総ページ数
      790
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4-621-30758-8

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公開日: 2024-12-25  

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