研究課題/領域番号 |
23K17443
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大山 要 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (50437860)
|
研究分担者 |
中嶋 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (00260737)
宮元 敬天 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (20619481)
竹林 実 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60304440)
相原 希美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (60908557)
山口 拓 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (80325563)
小川 さやか 長崎純心大学, 人文学部, 講師 (80629171)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
キーワード | 視える化 / 精神疾患 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本年度はうつ病のタンパク質バイオマーカーの同定に向け、解析対象患者を選定した。本研究はうつ病をメインターゲットとするが、統合失調症などの他の精神疾患とクリアに分離できない場合があり、こうした患者が一定数解析対象に含まれる可能性を考慮した。バイアスを可能な限り排除するためには、同一患者の治療経過から臨床的に明らかに改善したと考えられるポイントで得られた検体の解析が必要と考えられた。そこで、その効果に最もコンセンサスが得られる治療として電気けいれん療法に着目した。電気けいれん療法は古くから使用されるもので、精神疾患全般で汎用されている。統合失調症、双極性障害ならびに大うつ病性障害の患者のうち、電気けいれん療法前後の血液検体セットがある患者を抽出し、異常タンパク質の網羅的解析(イムノコンプレキソーム解析法)を行い、治療前後で比較した。なお、当該患者については、既存の病態スコア(PANSSスコア、HAM-Dスコア)をもとに治療効果が認められることを確認したが、主観的スコアであるため、参考値とした。また、当該患者では病態スコアと治療効果が相関し、電気けいれん療法が高い効果を示していることから、前後比較に適した患者群と考えられた。解析結果から治療後に有意に減少する8種類の異常タンパク質を特定した。合わせて、異常タンパク質の総量をELISA法で測定して前後比較したが、総量に有意差は認められなかった。以上の結果から、精神疾患活動期には特定のタンパク質の異常が脳内炎症を起こしている可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に適切な対象患者の絞り込みが順調に進み、バイオマーカーとなりうるタンパク質の特定ができたと考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
特定したバイオマーカーの簡便検査への適合性を早期に検討するとともに、モデル動物での病態形成の確認も並行させ、効率的に研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初は大規模な解析で進めることを計画したが、本年度は対象を絞った解析で有望なバイオマーカーを特定することができた。今後、当該分子の疾患特異性や病態反映の検証に多検体解析が必要となる。また、既報の代謝物バイオマーカーなどとの相関性確認も必要になる可能性がある。繰越金はこれらの解析に必要となる物品費に充当する。
|