研究課題/領域番号 |
23K17455
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
渡辺 峻 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70546910)
|
研究分担者 |
河内 亮周 三重大学, 工学研究科, 教授 (00397035)
岩本 貢 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50377016)
安永 憲司 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (50510004)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
キーワード | 情報理論 / 暗号理論 / 計算量理論 |
研究実績の概要 |
現代暗号理論における暗号技術は情報理論的暗号と計算量理論的暗号に大別される。前者は安全性の評価が定量的にしやすい反面、実現するためのコストが高く、大規模なシステムに適用するのが容易でない。一方、後者は安全性の定量的評価がしにくいものの、実現するためのコストが低く、柔軟性にも富んでいる。本研究では、情報理論的な解析手法を計算量理論的な安全性解析に適用するための新理論の確立を目的としている。 本年度の研究では、2021年にWatanabe-Yasunagaによって提案されたビットセキュリティの定義が、2018年にMiciancio-Walterによって提案されたビットセキュリティの定義と本質的に等価であることを示した。前者の定義は攻撃者の成功確率を1に近づけるためのコストとして操作的に定義されていたが、後者の定義との関係が不明であった。二つの定義の等価性が示されたことにより、状況に応じて二つの定義の使いやすい方を採用できるようになったため、本成果の意義は大きい。 また、秘匿計算のシミュレーションベースの安全性を、統計学における十分統計量ならびに情報量に基づく別表現を提案することに成功している。この表現によって、従来のプロトコルの見通しの良い安全性証明を与えることが可能になった。 また、Even-Mansour暗号に対する量子攻撃のクエリー複雑量の下界を導出することに成功した。本下界によって、Even-Mansour暗号への桑門ー森によって提案された攻撃が、クエリー複雑量の観点から最適であることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果もあげており、定期的に代表者・分担者でミーティングを行うことで、最新の研究動向の情報交換を行えている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、メンバーで定期ミーティングを行いディスカッションを行いながら、研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の国際会議を見送り、次年度の会議に参加することとしたため。
|