研究課題
挑戦的研究(開拓)
明治時代など過去の標本は大学、博物館、地域の小中高等学校、郷土資料館などに存在しているが採集地や採集年が不詳のことも多い。このため文献史学の技術により標本の採集地や採集年を特定する。このような標本のSNPs解析から、近代初期から現在に至る個体群の縮小状況や孤立度を再構築する。遺伝子で推定した個体群サイズ等の変化と公開されている気候予測データ、地形情報から、高山生物の未来の個体数や孤立度を予測する。
高山生物の個体群は産業革命以降の地球温暖化の影響を強く受けると考えられる。温暖化による生息地の縮小や、飛び石のように分布する山頂の高山帯の劣化で、高山生物の個体群は縮小し、分断化が進行している可能性があるが、過去の個体数を直接調査することは不可能であり、日本でも検証はほとんど行われていない。この研究では新しい遺伝子技術と文献史学の技術を融合することで検証を試みる。