研究課題/領域番号 |
23K17496
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
長屋 和哉 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 客員研究員 (00965113)
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研究分担者 |
中川 眞 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 特任教授 (40135637)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | サウンドスケープ / サウンドアート / メディアアート / 都市環境問題 / 音響資料 / 平安京 / 京都 |
研究実績の概要 |
2023年度において実施した内容は、交付申請書記載の「研究実施計画」にほぼ完全に沿っており、本研究の成果物(2025年度完成)である大規模な音響データベースの基本資料となる都市のサウンドスケープ1206箇所の収録を実施した。対象は旧平安京内のすべての交差点の音響資料であり、京都中心部全域を網羅しているが、当初予定していた1216箇所より10箇所少なくなった理由は道路使用許可が下りなかったためである。 我が国においては、未だ大規模な音響資料アーカイブが国会図書館にすら存在せず、音響資料そのものの価値付けが欧米に比べて著しく低い。しかし本研究は、ひとつの都市を丸ごと音響資料とすることによって、我が国のサウンドスケープ研究を一気に世界水準にまで引き上げるものであり、世界的な価値を有するものとなる。都市を丸ごと音響資料としてアーカイブする本研究の手法は今後「京都モデル」と名づけ、国内のみならず世界各地で展開する所存である。そのため、収録した地点には交差点名以外にもGPSデータを付与し、世界標準とした。それ以外にも各地点の最大騒音値(参考値)とパノラマ写真、さらに地点ごとの音の印象を収録者が記載することにより、豊富なアノテーションを作成した。それによって、例えば百年後の人々が本アーカイブを閲覧した際、これらのアノーテーションから現代の都市の姿を音響からだけではなく、別の角度からも知ることができるようになる。またそれだけではなく、本アーカイブは研究代表者である長屋を含めて現代に生きるアーティストたちへ広く公開し、膨大な音響資料を利用したサウンドアート・メディアアートの制作を推し進めることになる。その意味で、2023年度の実施内容は今後の研究展開の礎となる大変重要なものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度における進捗状況は、本研究の「研究実施計画」にほぼ完全に沿っており、本研究の成果物(2025年度完成)である大規模な音響データベースの基本資料となる都市のサウンドスケープデータ1206箇所の収録を10名の研究補助者により実施した。2024年3月現在、それらのデータはすべてアップロード済みである。データの内容は1206箇所の音響データ3種類(アンビソニックス、ステレオ、バイノーラル)・最大騒音値(参考値)・パノラマ写真・収録地点の印象コメントの計6種類であり、音響データだけでも3618個に及んでいる。 アップロードされたデータは現在、脱落や誤りがないか確認中であるが、それらのデータにおおむね間違いはない状況である。 本研究は大規模な音響アーカイブの作成がひとつの大きな目標であり、その礎となるデータそのものに脱落や誤りがあってはならないため、現在、その確認を慎重に進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
本年2024年度は以下の4点を推進する。 ①音響データ3618個の内容のチェックを研究代表者・長屋が実施する。しかし、データ数があまりにも多いため、2024年度だけでは終わらない可能性が高い。そのため、2025年度も引き続き実施する。②アップロードされたデータに脱落や誤りがないかの確認を研究協力者・大久保成氏が実施する。これについては2024年度前半には終わらせる予定である。③上記計6種類のデータの確認を実施しながら、データベースの構築を開始する。本作業の実務は研究協力者・大久保成氏が主導し、研究代表者・長屋がデータベースの全体像や理想的なユーザーインターフェースを考案し、大久保成氏にアドバイスしながら推進することになる。④サウンドアート制作を研究代表者・長屋が開始する。 2025年度は以下の4点を推進する。 ①2024年度に引き続き、研究代表者・長屋が音響データ3618個の内容のチェックを実施する。②データベースを完成させる。③サウンドアーティスト・メディアアーティストに本データベースを広く公開し、作品を募る。研究代表者・長屋は引き続きサウンドアートの制作を実施する。④本研究の発表をインターネット上のデータベースとして実施するが、同時に1)論文による、2)個展などの展示による、3)シンポジウムによる、といった方法によっても実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に科研費申請を実施した際に想定していた研究推進計画が、2023年度になって研究代表者・研究分担者・研究協力者全員のスケジュールが予想以上に多忙となってしまったため、対面での打ち合わせが不可能となってしまい、急遽オンラインでの打ち合わせの体制を整える必要が生じた。そのため、打ち合わせのための旅費として計上していた費用をオンライン体制の準備費用に振り替えた。それにより、予定していた費用に余剰が生まれ、次年度に持ち越した。 次年度(2024年度)に生じた使用額は、本研究の目的のひとつである「大規模音響データベース」を用いたサウンドアート・メディアアート制作のための物品購入(音響ソフトウェアを予定)に使用する計画である。
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