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2023 年度 実施状況報告書

日本の社会・文化理解のための翻訳理論:翻訳言説史からの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23K17506
研究機関順天堂大学

研究代表者

齊藤 美野  順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (90745936)

研究分担者 佐藤 美希  札幌大学, 地域共創学群, 教授 (50507209)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワード翻訳学 / 翻訳理論 / 翻訳言説 / 翻訳概念 / 翻訳行為 / 明治期 / 異言語接触 / 異文化接触
研究実績の概要

本研究は、異言語・異文化接触における翻訳行為を把捉・分析することを可能とする翻訳理論の構築を目指すものである。そのために、日本において翻訳が多く行われるようになった明治期を対象とし、翻訳概念の編成過程を示せるよう、翻訳言説を収集し、社会文化的コンテクストとの関係性を踏まえながら分析を行っている。研究期間の初年度である2023年度には、研究代表者・分担者が協力し、まず雑誌記事に集中し、翻訳言説を収集することにした。これは明治期に多数の雑誌が刊行されていたことと、複数の人物が関わる媒体であることから多様な言説を収集できる可能性が高いことによる。そして、雑誌『太陽』の記事の明治期発行分を対象とした分析・考察結果は、研究ノートの形で発表することができた。そのなかで、当該雑誌における翻訳言説は、3つのカテゴリーに分類し捉えられることを提示した。
これまで日本の明治期の翻訳言説の収集が十分に行われておらず、体系的な翻訳理論に発展していないなか、本研究が『太陽』記事について、翻訳言説の収集・分析を行ったことは、翻訳理論構築のために必要な作業工程を推進したという点においてだけでなく、社会に対し翻訳言説を暫定的にカテゴリー化して示したという点において、大きな意義があると考えている。また、カテゴリーの導出は、研究計画通り社会文化的コンテクストとの関連を考察しながら行った。このことにより、翻訳学の研究者だけでなく、明治期の社会について他の学問分野の見地からアプローチしている研究者にも、理解されやすい論点を提示できたのではないかと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに、翻訳言説の収集・整理・分析を行うことができている。具体的には、複数の雑誌の記事を収集し、研究代表者・分担者の間でデータセッションを行ったうえで、『太陽』については研究ノートを発表することができた。さらに、他の雑誌についても分析を進められている。
また、書籍に含まれる翻訳言説についても、収集を進められており、2024年度の研究に繋げることができた。

今後の研究の推進方策

2023年度末から、『太陽』とは別の雑誌を分析対象とした研究を、研究代表者・分担者の共同で行っている。同誌を分析対象とした研究を続け、2024年度中に口頭発表や学術誌への投稿を行う計画である。また、2024年度は雑誌記事を対象とすることに加え、書籍も対象として翻訳言説の収集・整理・分析を進める。いずれのデータを扱う場合も、研究代表者・分担者の間でオンラインミーティングを活用しデータセッションを効率よく、定期的に行うことにより、客観性を高めながら分析・考察を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年6月末に本研究費の交付内定通知を受け、本研究課題に取り組み始めたが、研究代表者・分担者間の共同研究の開始は、各自の勤務校の前期(春学期)終了後の8月になった。その際に研究計画を改めて組み直したことに伴う、次の2点の理由から、2023年度の使用額が想定より減り、次年度使用が生じた。1)分析対象とした雑誌の記事を、データベースや国立国会図書館を利用することで入手できたため、必要となる書籍購入費用が想定より少なく済んだ。2)研究結果の発表方法として、学会発表の代わりに、より詳細に分析結果を示すことのできる方法である研究ノート執筆を選んだことから、旅費の使用が不要となった。
2024年度は、明治期に出版された書籍も分析対象とするため、書籍購入費用が2023年度よりも必要となることが想定される。また、国内学会発表を計画しているため、旅費も必要となる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 雑誌『太陽』における明治期の翻訳言説2024

    • 著者名/発表者名
      齊藤 美野、佐藤 美希
    • 雑誌名

      通訳翻訳研究

      巻: 23 ページ: 61~81

    • DOI

      10.50837/its.2304

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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