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2023 年度 実施状況報告書

地理的情報を失った砂から供給地を推定するための研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K17536
研究機関科学警察研究所

研究代表者

杉田 律子  科学警察研究所, 附属鑑定所, 所長 (60356201)

研究分担者 吉川 ひとみ  科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (20392269)
板宮 裕実  科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (40645488)
組坂 健人  科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40801577)
川村 紀子  海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 准教授 (80442458)
山本 敦  科学警察研究所, 附属鑑定所, 研究員 (90462754)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワード砂粒子からの地域推定 / 画像解析 / SEM-EDX
研究実績の概要

本課題の目的である砂粒子から地域推定に必要な基礎的情報を得るために、研究初年度は、実験の第一段階である岩石標本を使った実験を行うために、岩石試料の選定を行い、基礎的な実験条件について検討を開始した。使用する岩石試料の前提条件として、原則として国内に一般的に産するような岩石種であることを定めた。市販されている岩石標本などから候補として選定したハンドスペシメンや岩石薄片の観察により、互いに異なるテクスチュアを示すことが明らかな砂岩、火山岩、チャートなど複数の岩石を、画像解析の条件を検討するために使用することとした。なお、火山岩についてはマトリックス部分がやや類似した組織を示す試料も含めて差異が見いだせるか検討することとした。また、組織に方向性が見られる試料については、組織に直交する薄片と並行の薄片を作製し、方向性の影響を検討することとした。現在は、エネルギー分散型X線分析装置付き走査型電子顕微鏡(SEM-EDX)による分析を行うための研磨薄片作製に取りかかったところである。SEM-EDXによる反射電子像の観察では、画像の明るさが観察日や試料ごとに変化する可能性が考えられるため、研磨薄片には明るさの標準となる3種類の鉱物(石英、カンラン石、赤鉄鉱)を岩石試料と共に貼り付け、明るさの補正ができるようにした。
また、2023年12月に国際地質科学連合法地質学イニシアチブとロンドン地質学会法地質学グループが共催した学術集会に参加し、各国の法地質学の現状について意見交換を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は実質的には研究機関が半年と短いため、実験の準備と条件の基礎的研究が中心であった。特に、SEM-EDXによる画像の取得にあたり、実験開始までに明るさの指標となる物質の選定が今期の重要なポイントであったと考えている。実験に必要な機材についても今期のうちに概ね整えることができ、予定通り2年度目からの本格的な第一段階(岩石標本を用いた実験)の検討に備えることができた。

今後の研究の推進方策

2年度目は、研究の第1段階である岩石標本の研磨薄片を用いて、画像解析および元素分析に基づく岩石の識別を試みる。具体的にはSEM-EDXの反射電子像を取得し、一つの薄片からある一定の面積の画像をランダムに複数切り出し、同一岩石どうしや異なる岩石間で識別が可能な解析手法を構築する。また、画像解析のために切り出すのとおなじ範囲の元素分析を行い、同一または異なる岩石と判断するために必要なパラメータの設定を行う。さらに両者を組み合わせて識別をする方法の検討を行う。さらに、岩石標本を砂サイズに粉砕し研磨薄片としたものに対して構築した手法を適用し、より実用に近い試料での検討を行う。
岩石標本及びその粉砕したものをX線コンピューター断層撮影装置(CT)で撮影を行い、岩石の組織の再現性を確認し、また、混合されたものから岩石種の識別が可能となるような解析手法の開発に着手する。
また、国内の河川あるいは海岸の堆積物について文献調査を行い、第2段階の実験で使用する砂試料を収集する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が発生した主な理由は、外国旅費及び参加費が想定外に安価に抑えられたこと、薄片作製が次年度にずれ込んだため支払いがなかったこと、野外調査が実施できなかったことである。
次年度使用額は前年度に購入した顕微鏡カメラの制御に必要なパソコンやハンディGPSの購入、薄片作製費、申請書作成時に想定できなかった研究会への参加の係る費用に、使用する計画である。

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公開日: 2024-12-25  

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