研究課題/領域番号 |
23K17539
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新井 誠 広島大学, 人間社会科学研究科(法), 教授 (20336415)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | ルッキズム / 憲法 / 法学 |
研究実績の概要 |
本研究課題の採択後、本研究課題に関する書籍など購入すると同時に、現在進行中の議論を確認するためにインターネットなどの情報を中心に、ルッキズムをめぐる法的議論やその他の関連領域における議論の状況調査をした。また、他の研究者に対して本件問題に関する興味関心などについて、ことあるごとに聴取することを心がけた。一方で、本研究課題での科研費を取得する以前に執筆したルッキズムに関する論文を基盤としながらも本研究課題採択後の2023年度に実施した調査研究内容を踏まえて、「ルッキズムと法」と題する内容で、広く全国の市民に向けてテレビで話をする機会を得た(2023年12月)。また、とりわけマスコミ関係者におけるルッキズムのあり方について意識して執筆した文章(「憲法から考えるルッキズム」)が、オンラインで公開された(2024年3月)。 これらの作業を通じて、ルッキズムを憲法学、あるいは法学の視点からどのようにこの問題をとらえるべきかという基本的スタンスを確認できた。具体的には、①ルッキズムが抱える法的問題としては、(顔の好みを理由として応援する芸能人を決めるといった場面などに見られるように)人を外見で判断をするようなこと自体がただちに差別になるというよりも、本来であるならば外見だけで判断するべきではないものについて外見が必要以上に判断の考慮要素となっていることに何らかの法的問題が生じることを特に検証し、その統制方法を考えることになるのではないか、②ルッキズムは性別などにかかわらず起こり得ることから、そのことを踏まえた法的検証が必要ではないか、といったことを一定程度、確認できたと思っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度には、テレビ番組を通じて人々に対して一定の問題意識を発信したり、ルッキズムに関する文章をオンラインで公開したりするなど、本研究課題に関わる一定の社会的発信ができた。また、(研究者を含む)複数の人々に対してルッキズムへの関心などについて聞いたりするなどして、本問題をめぐる問題意識を共有する場面を、わずかであるものの持つことができた。もっとも、よりしっかりと計画を立てたインタビューや資料調査の機会を設けることが叶わなかった。また、総論的な検討は進んだところもあったが、より各論的な検討が進んでいないこともある。そこで「やや遅れている。」を選ぶこととした。
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今後の研究の推進方策 |
実際の研究活動として、2023年度の段階でも他分野の研究者などへのインタビュー調査をすることを予定していたが、これらがきちんと実行できていないことから、2024年度にはこれを実施する努力をしたい。また、これまでの研究では、基本的な調査研究に留まり、総論的な部分の検討しかできなかったところがあるので、これらをさらに進め、より各論的な部分へと調査・研究を進めていきたい。具体的には、ルッキズムが法との接点を持つ各場面を、より詳細に想定し、それぞれの場面において、いかなる法的問題が生じるのか、また、これらに対応するため、いかなる法理論・法政策が求められるのかといったことの考察である。これらを着々と行ったうえで、ある程度進んだ段階で論文執筆活動を行っていき、うまくいった場合には、適宜、研究成果の公表を進めていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、さまざまな分野の研究者へのインタビューや面会、さらに本課題に係る海外調査を行ったりする予定があったものの、諸業務の多忙により叶わなかった。また、資料収集や論文執筆のためのパソコンなどの新たな調達も考えていたものの見送った。こうしたことから本来2023年度に使用すべき費用について、2024年度に改めて使用する予定となった。 2024年度は、特に法学のみならず他分野の研究者へのインタビューや面会を行うことを目標として、国内出張をしたい。また、時間的制約や円安などによる費用の高騰が懸念されるものの、可能であれば、効率的な手法を用いて、海外調査なども行うことも考えている。なお、ルッキズムをめぐっては世間的には関心が深まっており、近年、新しい資料がさまざまな形でいろいろと公表される可能性があることから、最新の情報を含めて調査・収集を行っていきたい。さらに、一定の各論的な調査研究が深まった際には、研究論文を執筆して公表をするために、必要に応じて、一定の費用を使っていきたい。
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備考 |
本研究課題に関するテレビ出演として「ルッキズムと法」NHK「視点・論点」(2023年12月放送)がある。その配信後、同内容がNHKの以下のサイトに掲載されている(https://www.nhk.jp/p/ts/Y5P47Z7YVW/episode/te/BQZP75RLNW/#article)。
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