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2024 年度 実施状況報告書

外生的ショックを緩和・活用する経済組織の特徴:漁業のコミュニティ・レベル分析から

研究課題

研究課題/領域番号 23K17560
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

遠藤 正寛  慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (80281872)

研究分担者 東田 啓作  関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
牧岡 亮  北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (10836323)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワード漁業生産性 / 引揚者 / 団体経営体
研究実績の概要

本研究では、漁業地区間の生産性の差を生み出す要因として、団体経営体の比率に注目する。漁業を営む経営体は、個人経営体と団体経営体に分かれる。このうち、団体経営体には、共同経営、会社、漁協、漁業生産組合などが該当する。団体経営体の中では共同経営が最も数が多く、これは複数の経営体が漁船や漁網などの生産手段を共有して、共同して漁業経営を行うものである。
統計上、漁獲額に占める団体経営体の比率が高い漁業地域ほど、地域の漁業生産性が高くなる。しかし、このことから、団体経営体の比率が高いことが原因で、地域の漁業生産性が高くなるという因果関係までは言えない。なぜなら、地域の漁業生産性が高いために、地域の漁業協同組合の資金や人材に余裕が生まれ、団体経営を推進することができるという逆の因果関係や、地域の文化や自然条件が漁業生産性と団体経営体比率の両方に影響を及ぼすという他の共通要因の存在が、この相関を生んでいる可能性もあるからである。
そこで、本研究では、団体経営体の比率を説明する要因として、第二次世界大戦後の外地からの引揚者数を操作変数に用いる。これは、引揚者数が多い地域ほど、漁業に従事する労働者が急増し、従来からの漁業従事者と新規の漁業従事者の間の利害を調整するために団体経営が推奨されたという仮説に基づく。また、引揚者数は主として中国大陸、朝鮮半島、樺太、千島列島との近接性から決まるので、漁獲高に影響を及ぼす自然要因と引揚者数の間に因果関係はない。このことから、引揚者数は団体経営体比率の適切な操作変数と想定される。
この操作変数を作成するため、データの整備を行った。本年度は昭和5年国勢調査、および昭和25年国勢調査から、各市町村の人口(男女別)、水産業従事者人口(男女別)を抽出してデータベース化した。また、それぞれの年の自治体と現在(2025年時点)の自治体との照合データを作成した。

現在までの達成度
現在までの達成度

4: 遅れている

理由

団体経営体の比率の操作変数である、第二次世界大戦後の外地からの引揚者数のデータ整備、ならびにこの時期の漁業従事者数のデータ整備に時間を要したためである。特に、昭和初期の国勢調査の結果を分析可能なデータに整えること、ならびに、昭和初期の市町村と現在の市町村の接合データを作成することが、時間を要する作業であった。

今後の研究の推進方策

戦後の市町村別引揚者推定数と戦前戦後での漁業従事者数の変化から、団体経営体比率を説明する操作変数を作成する。そして、この操作変数に加えて、各漁業地区の漁船数や海上・陸上作業者数、そして漁獲額に影響を及ぼす自然条件のデータをあわせて、各漁業地区の漁業生産性を説明する変数を整え、推計を行う。

次年度使用額が生じた理由

研究計画に遅れが生じているため、計画をしていた漁業協同組合への訪問調査が実施できなかったことが大きな理由である。研究課題の最終年度の使用計画には、この訪問調査や、データ整備や資料収集のための謝金の支出が含まれるが、余った場合には返還する。

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公開日: 2025-12-26  

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