研究課題/領域番号 |
23K17599
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
内ノ倉 真吾 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (70512531)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
キーワード | 複式学級 / 少人数学級 / へき地 / 離島 / 科学資本論 |
研究実績の概要 |
一人の教師が一つの教室で異なる複数の学年の授業を行う学習集団の組織編成方法である「複式学級」の小規模・へき地特性に着目して,エンパワーメント・アプローチに基づいて,デジタル学習環境における小学校複式学級での教科教育方法論を再構築することを目的とし,(1)文献調査,(2)国際比較調査,(3)フィールド調査の3つに細分化して実施した。 令和5年度では,(1)文献調査,(3)フィールド調査を主として実施した。 (1)文献調査では,第一に,エンパワーメント論とエンゲージメント論,科学資本論の関連資料を分析し,当該理論からの知見を整理した。第二に,デジタル学習環境における子どもの学習・生活状況に関する国際比較調査の関連資料を分析した。第三に,諸外国での小学校複式学級に関わる実践・研究資料,国内の実践報告事例(全国へき地教育研究連盟),都道府県教育委員会による複式学級指導資料を分析し,教科教育方法や教師教育の特徴を探った。 (3)フィールド調査では,第一に,鹿児島県内の小学校(本土・離島域)及び関係の市町村教育委員会の担当指導主事・校長・教諭等を対象として,『学習指導要領』(平成29年告示)及び「GIGAスクール構想」に対応して実践されるカリキュラム構成,ICT活用を含めた指導方法について,ヒアリング調査を実施した。第二に,学校内外での児童の理科学習活動に関する調査について,奄美市教育委員会の担当主事等と打合せを行った。また,鹿児島大学の曽於地区,奄美地区における教育研究施設の関係者と,令和6年度のフィールド調査に関わる打合せを行った。第三に,小学生の理科授業における言語活動の実態調査を行い,観察・実験活動における「結果」「考察」の理解の実態を探った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおよそ計画通りに,文献調査及びフィールド調査を実施することができたため。また,令和6年度中に,関係の市町村教育委員会との打合せを行い,へき地域,離島域における学校内外の児童の理科学習活動の実態を探る計画に見通しを立てることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,令和5年度に引き続き,(1)文献調査,(3)フィールド調査を進める。(1)文献調査では,科学資本論の文献を収集し,その理論的な枠組みを十分に把握することとする。その上で,科学資本論を理論的な枠組みとして,児童・保護者・教師を対象とした質問紙調査などの調査をデザインすることとする。また,(3)フィールド調査として,奄美市教育委員会等の協力を得て,奄美地域の子どもたちの理科学習に対する態度や学校内外での学習活動の状況を把握することとする。(2)国際比較調査として,オーストラリア,ドイツ,インドネシアなどの諸外国において複式学級指導研究を行っている大学へアプローチして,研究協議等に着手する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に予定していた海外調査は,日程の都合により実施することができなかっため,令和6年度に実施する予定である。それ以外については,離島域・へき地域を訪問してのフィールド調査を計画通り実施する予定である。
|