研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorders:ASD)者とヒューマノイドロボットのとの間のインタラクション実験を行った。12~18歳のASD児12名をリクルートした。診断は構造化面接による国際的診断ツールThe Diagnostic Interview for Social and Communication Disorders (DISCO)にて行った。参加者にWISCもしくはWAIS,AS,Liebowitz Social Anxiety Scale(LSAS),Sensory Profileをはじめとした特性把握のための検査を行った。参加者にロボットと10分間のインタラクションしていただいた。尚ロボットはあらかじめ用意したスクリプトに基づいて話をする設定とした。ASD児の分析・支援が専門の研究代表者(児童精神科医)とロボット工学者の研究分担者吉川が、実験中のインタラクションの経時変化を詳細に検討し、CommUの動きと児の反応分析に取り組んだ。それぞれの視点で修正点を分析したうえでロボットの、視線提示において体幹/首/口の向きのどの要素を組み合わせるかを変え、スピードや動きを調整するなど、被験者がロボットと対面する際に違和感を持つことなく対話できるように、自律動作のプログラムを調整した。その後ASD者とロボットの間で再度10分間のインタラクション実験を行った。ロボットの動きに影響するASD者の要因として、感覚過敏や低登録といった感覚特性の違いが示唆された。例えば感覚過敏症状が強い方は、動作が遅いロボットを、感覚過敏症状が弱い方は動作の早いロボットを好むことが示唆された。
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