研究課題/領域番号 |
23K17633
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
征矢 晋吾 筑波大学, 医学医療系, 助教 (90791442)
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研究分担者 |
那須 雄介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60831328)
松井 崇 筑波大学, 体育系, 助教 (80725549)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 疲労困憊運動 / TRAP / 低体温・低代謝 |
研究実績の概要 |
本研究では、疲労困憊運動モデルとTRAP法を組み合わせることで、疲労時に活動が高まるニューロン(疲労ニューロン)を同定し、それらが疲労様状態を誘導する働きを持つかどうかを検証する。また、疲労ニューロンを人為的に活性化することで、疲労時に起こる生理応答およびそのメカニズムを明らかにする。本研究で確立した手法を用いて、疲労ニューロンを人為的に活性化させた結果、顕著な不動状態および低体温・低代謝状態を誘導できることを見出した。さらに、疲労ニューロンの全脳マッピングと局所的なTRAP法を用いることによって、低体温・低代謝状態を誘導する脳部位を同定している。また、疲労様状態の直前に深部およびBAT(褐色脂肪細胞)付近の体温が著しく低下する現象を見出しており、疲労を誘導する体温制御メカニズムの解明を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
疲労困憊運動と局所的なTRAP法を用いて同定したMPOA(内側視索前野)の疲労ニューロンを薬理遺伝学的に興奮させることで、低体温・低代謝状態を誘導することを見出した。一方で、DMH(背内側核)の疲労ニューロンの活性化は体温を上昇させた。また、疲労困憊に至る過程における深部体温とBAT(褐色脂肪細胞)付近の体温動態を測定した結果、どちらも疲労困憊状態の直前に体温が著しく低下することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験結果から、疲労様状態を誘導する過程において、体温制御メカニズムが関与している可能性が示唆される。特に、疲労困憊運動時の体温制御に関与する内側視索前野(MPOA)および背内側視床下部(DMH)の活動バランスが崩れることによって、一時的な低体温状態を誘導し、疲労様状態を引き起こす可能性が示唆される。今後は、運動時のPOAおよびDMHに局在する疲労ニューロンの神経活動動態をファイバーフォトメトリー法を用いて解析する。また、それぞれの疲労ニューロンについて、その制御メカニズムを明らかにするための足掛かりとして、単一細胞RNAシークエンスを用いた遺伝子解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より早い段階でファイバーフォトメトリー法を用いた実験を行うことになったため、次年度に予算を繰り越すことによって高額なフォトメトリー装置の購入に充てる。
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