研究課題/領域番号 |
23K17642
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
足立 幾磨 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 准教授 (80543214)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 感覚間一致 / 言語進化 / 比較認知科学 |
研究実績の概要 |
本研究では、ラベル生成・理解、概念メタファーの進化的基盤として感覚間一致に着目し、チンパンジーを主たる対象とし、比較認知科学的なアプローチをおこなっている。目的は特に下記の2点に集約される。まず、①多様な感覚間一致の比較研究をおこない、各感覚間一致が生じるメカニズム、その進化的な基盤を解き明かすこと、つづいて、②複数個体場面を設定し、感覚間一致の共有を促すことで、個体レベルの感覚間一致が強化調節されるのかを分析し、「共創的表象」の創発プロセスをあきらかにすること、である。 本研究では、特に②の共創的表象の創発プロセスに焦点を当てた研究を計画しており、本年度は①の個体レベルのベースラインとなるデーターを取得しつつ、複数個体による実験状況を設定するための馴致作業をおこなった。 これまでに、明度と音の高低、順序と空間、の間の感覚間一致をチンパンジーが所持していることを明らかにしてきた。本研究では、その各個体のベースラインを再取得しながら、その後複数個体を同時に実験する場面を設定することを予定してる。具体的には、複数個体が感覚間一致を共有する場面を設定することで、個体レベルの感覚間一致が強化・調節されるのかを分析する。現在複数個体場面を実験的に設定する馴致をおこなっているところであるが、被験体の体調不良などもあり、少し馴致は遅れている。また、チンパンジーでの本実験の進展を鑑みて、複数個体場面を作りやすいニホンザルも対象に加えるため、ニホンザルの訓練も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数個体を同時に実験するための馴致作業が、被験体の体調不良などが重なり想定よりも少し遅れているため、3とした。
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今後の研究の推進方策 |
できる限り複数個体実験場面の設定に注力する予定である。もしこの複数個体場面の設定がかなわない場合には、その分を前述の目的1、すなわち個体ベースの探索的研究をより重点的にすすめることで、補完的な研究とすることも考慮する。また、チンパンジーでの本実験の進展を鑑みて、複数個体場面を作りやすいニホンザルも対象に加えるため、ニホンザルの訓練も開始した。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験補助員の雇用開始に時間がかかり、来年度使用額が生じたが、すでに雇用を開始しておおり、研究もすすめている。また、チンパンジーでの実験のバックアップとして、ニホンザルの実験も開始しており、来年度予定額使用できる見通しである。
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