研究課題/領域番号 |
23K17657
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
荒井 迅 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (80362432)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 力学系 / 分岐 / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本研究は,力学系の分岐構造を予備知識なしで自動的に解析するアルゴリズムを構築する ことを目的とする.申請者らが開発したコンレイ・モースグラフという大域的な分岐解析 手法に,マルコフ過程を用いた測度論的な手法や,グラフクラスタリング, 離散ホッジ理 論といった最新の成果を統合することで,適用範囲を飛躍的に拡大する.AUTOなどの通常 の分岐解析では,注目する不動点や周期軌道を定め,その軌道を出発点として分岐を追跡 するため,そもそもどんな現象が起きるか調べたいときには使いづらかった.本研究では ,位相幾何学の手法を用いて相空間の面白い構造を自動的に探し,その構造を追跡するた め,ユーザーとしては数理モデルを放りこむだけで,面白い分岐が起きそうかどうかが自 動で解析できるという特徴がある.本年度は,基礎となる一様双曲性アルゴリズムを高速化するための研究を主に進めた.特に,吸引的な周期点がある領域での計算を他の領域と独立に行なうという分割統治型のアルゴリズムを研究した.これにより,吸引的な周期点の吸引領域を解析的な評価を用いた高速な計算で分離することができ,これまでは計算速度の問題で扱うのが難しかった,周期的な吸引領域とカオス的なジュリア集合が共存するような力学系に対しての計算速度の向上が期待できる.また,アルゴリズムの並列化を進めるため,アルゴリズムの実装におけるメモリ管理や分散管理の手法も見直しを進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一様双曲性アルゴリズムの改良は順調に進んでいる.他のアルゴリズムの統合や情報の共有についてはこれからの課題であり,それらを全体的に評価すると,おおむね順調な進展だと言える.
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今後の研究の推進方策 |
一様双曲性アルゴリズムの改良を進めながらも,コンレイ・モースグラフなどの他のアルゴリズムとの統合を進める予定である.また,計算の高速化という面では,代表者の所属機関が持つスーパーコンピュータでの実行効率向上なども目指したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に用いるのに最適な計算機のアーキテクチャーを見定めるのに時間がかかり,計算機の購入を先送りしたことが一つの理由である.今後の研究で順次計算機を導入する予定であり,研究には遅れは生じないと考えている.
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