研究課題/領域番号 |
23K17699
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 電離圏 / スポラディック E / 電波伝搬 |
研究実績の概要 |
国際宇宙ステーション(ISS)から市販のデジタルカメラを用いて撮影された地球の画像が,NASAのウェブサイトにおいて公開されている.これらの ISS デジタルカメラ画像は,言わば「見えたまま」の画像であり,カメラの向きや画角,歪み,撮像時刻などの「カメラパラメータ 」の情報が存在しない.本研究は「ISS デジタルカメラ画像のジオロケーションを決定する手法」を確立し,科学データとして再生することを目的とする.最終的には,ノルウェーのトロムソで実施するデジタルカメラを用いた地上較正実験と光学発光モデルと組み合わせることで「画像の RGB 色空間情報からオーロラ電子のエネルギーを推定する手法」を確立し,オーロラ電子エネルギーの広域マップを導出することを目指す.本年度は,ISS に搭載されているものと同型のデジタルカメラによる地上実験を行うための観測システムの開発を行い,ノルウェートロムソにおいて欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT)との同時観測を実施した.この観測によって得られたカラーデジタルカメラ画像と欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT)による電子密度観測実験を組み合わせることで,オーロラの色(RGB チャンネルの比率)からオーロラ降下電子のエネルギーを定量的に導出する手法を確立する予定である.また,上記の観測データを解析する作業と並行して,機械学習を用いたオーロラの自動検出システムの開発に取り組み,高い精度でオーロラの発生を検知することができることを確認した.最終的には,これらの観測によって得られたデータを用いて,カラーデジタルカメラデータからオーロラの平均エネルギーを推定する手法を確立し,その結果のまとめを行っているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに 2 地点において観測をスタートすることができている.また,2023 年夏季に発生した Es 層の事例について,AIS と GPS 全電子数観測や航空航法用電波観測を組み合わせて,その空間構造を可視化することに成功している.
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今後の研究の推進方策 |
2024 年度以降は,調布・呉に加え,長野県菅平に同型の受信システムを設置する.これにより,3 地点における異常伝搬事例を重ね合わせた形で,Es 層発生領域のマッピングを行うことが可能になる.この複数地点における観測から,受信点を増やすことによって観測視野がどの程度広がるのかを実証的に明らかにする.前述のように,Es 層の発生は,VOR 等の航空用航法電波に対しても混信などの影響を与える.国内 3 地点における AIS 電波のモニタリング観測に基づいて,VHF 帯の航空航法・通信への影響を定量的に評価する.
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