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2023 年度 実施状況報告書

紫外線波長に依存した水銀の同位体分別から読み取るオゾン層の形成と成長

研究課題

研究課題/領域番号 23K17708
研究機関学習院大学

研究代表者

大野 剛  学習院大学, 理学部, 教授 (40452007)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
キーワード水銀 / 同位体分別 / 表層環境 / オゾン層 / 波長
研究実績の概要

オゾン層は生物に有害な紫外線を吸収するため、地球表層生物の進化に重要な役割を果たしてきた。オゾン層は酸素発生型光合成生物がもたらす酸素分子の増加に伴い形成されたと考えられているが、その形成時期に関する物的証拠は陸上生物の化石などに頼るところが大きい。我々の予察的な実験により、オゾン層で吸収される254 nmの紫外線と水銀の光化学反応により204Hgの非質量依存同位体分別: Δ204Hg 異常が起こることが示された。Δ204Hg 異常は地球表層環境まで到達するUV-A (波長315-400 nm)では観察されないため、オゾン層の形成を読み解く上で、Δ204Hg 異常を用いた新たな指標は有用だと考えられる。本研究では、水銀の紫外線波長依存の同位体分別からオゾン層の形成と成長を調べるための新たな研究手法の開発を目指している。今年度は、Δ204Hgが波長に依存して変動するかを調べるため、光還元反応における水銀同位体分別の波長依存性を調べた。具体的には、これまでの予察的な実験で用いてきた水銀UVランプに加え、キセノン光源を用いて250 nm-300 nm程度の領域での光酸化還元反応における水銀同位体異常の波長依存性を調べた。その結果、254 nmの水銀光源を用いた場合にΔ204Hgが大きくなることが明らかになった。一方でこれまでの実験結果ではキセノン光源を用いるとΔ204Hgの変動はほとんど検出されなかった。今後は異なる光源および波長が水銀同位体分別に与える影響について調べていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水銀同位体分別の波長依存性に関する研究が予定通り進んでいるため。

今後の研究の推進方策

今年度は、Δ204Hgが波長に依存して変動するかを調べるため、光還元反応における水銀同位体分別実験を行なった。254 nmの水銀光源を用いた場合にΔ204Hgが大きくなることが明らかになった。一方で、キセノン光源を用いるとΔ204Hgの変動はほとんど検出されなかった。そこで今後の研究では、異なる光源および波長が水銀同位体分別に与える影響を調べ、水銀の同位体分別を用いてオゾン層の形成を推定するための研究手法開発を目指す。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた実験補助のアルバイト経費が来年度に必要になったため。主に研究補助のための人件費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Crystallization processes of quartz in a granitic magma: Implications for the magma chamber processes of Okueyama granite, Kyushu, Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Yuguchi Takashi、Kato Takenori、Ogita Yasuhiro、Watanabe Minori、Yamazaki Hayoto、Kato Asuka、Itoh Daichi、Yokoyama Tatsunori、Sakata Shuhei、Ohno Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of Asian Earth Sciences

      巻: 265 ページ: 106091~106091

    • DOI

      10.1016/j.jseaes.2024.106091

  • [雑誌論文] Petrography and geochronology of the Kuki granite, Kitakami Mountains, northeastern Japan: Shallow crustal intrusion and emplacement processes of granitic magma2024

    • 著者名/発表者名
      SUZUKI Satoshi、YUGUCHI Takashi、ISHIGURO Keito、ENDO Kyoka、KATO Asuka、YOKOYAMA Kosuke、OGITA Yasuhiro、YOKOYAMA Tatsunori、SAKATA Shuhei、OHNO Takeshi、SASAO Eiji
    • 雑誌名

      Journal of Mineralogical and Petrological Sciences

      巻: 119 ページ: 230807

    • DOI

      10.2465/jmps.230807

  • [学会発表] Temporal changes of 235 U/238 U and 236 U/238 U isotopic ratios in Tokyo Bay from the 1960s to the 2000s2023

    • 著者名/発表者名
      Ohno, Takeshi; Yoshida, Ami; Kitamura, Gou; Ijichi, Yuta; Fukami, Yusuke
    • 学会等名
      Goldschmidt 2023 Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 水銀の光還元反応における同位体分別の波長依存性2023

    • 著者名/発表者名
      大野剛; 平野隼; 村上諒; 伊地知雄太; 深海雄介
    • 学会等名
      2023年度日本地球化学会第 70 回年会
  • [学会発表] 重元素の磁気同位体効果による非質量依存同位体分別の地球化学的応用2023

    • 著者名/発表者名
      深海雄介; 有泉涼子; 大野剛; 伊地知雄太; 柏原輝彦; 鈴木勝彦; 平田岳史;
    • 学会等名
      2023年度日本地球化学会第 70 回年会
  • [学会発表] 水圏での水銀同位体変動メカニズムの解明2023

    • 著者名/発表者名
      村上諒; 平野隼; 深海雄介; 大野剛;
    • 学会等名
      2023年度日本地球化学会第 70 回年会

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公開日: 2024-12-25  

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