研究課題/領域番号 |
23K17722
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 篤智 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (20419675)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ナノ構造 / 転位 |
研究実績の概要 |
結晶格子欠陥の1つ「転位」は材料の機械的性質のみならず電気的・光学的・磁気的性質にも影響を及ぼすことが知られている。特に、転位中心部の乱れた原子配置がこれらの機能的性質とも密接に関係している。そこで本研究では、こうした転位特有の機能を利用したナノ構造の実現を目指して、転位の導入とその機能特性評価を行うことで、より高機能なナノ構造実現のための設計指針を獲得しようとしている。 転位はその構造的特徴から原子・電子スケールの構造体と見なすことができる。転位近傍では量子レベル構造も大きく変化するため、格子振動や電荷分布の変化を通して、局所の機能特性が変化する。令和5年度では、双結晶法を用いて原子配列が精緻に制御されたナノ構造の作製を行うとともに、その構造解析を行った。また、機能特性についても計測した。その結果、原子レベルの高機能ナノ構造体においては、光に対する感受性が異なり、伝導性も変化すること、熱の輸送についてもバルクとは異なる値を取ることを計測することに成功した。特に、転位の並び方や密度などで特性が変化する傾向が見られた。これらの結果は、初期の実験設定が順調であることを示しており、今後、構造依存性について、より詳細に調査していく予定である。 なお、これまで酸化物材料でのナノ構造作製を行っており、手法は双結晶法によるものである。今後は、塑性変形を利用した転位導入およびそのように作製された材料の機能特性評価についても進めていく。これにより、さらに高機能なナノ構造の設計指針を確立したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期の実験設定が順調で、構造による特性変化の評価ができているため。
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今後の研究の推進方策 |
作製に成功した試料について、さらに定量的なデータ計測を行うことで、ハイレベルな国際学術論文成果となるように実験結果を得る。さらに、各種の塑性変形を利用した転位導入による方法にも挑戦する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験試料の作製が順調であったため、物品の購入回数が予想よりも減少した。 次年度では、ハイインパクトな論文を作れるように、なるべく定量的なデータを取得するため、次年度使用額を試料と装置消耗品の購入に充てる。
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