研究課題/領域番号 |
23K17749
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
的場 修 神戸大学, 次世代光散乱イメージング科学研究センター, 教授 (20282593)
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研究分担者 |
米田 成 神戸大学, システム情報学研究科, 特命助教 (00964248)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 量子もつれ光 / 3次元イメージング / 強度輸送方程式 |
研究実績の概要 |
本研究では,量子もつれ光を用いて,強度輸送方程式に基づく3次元イメージングを実現する方法を開拓する。そのために,以下の3つの過程に分けて研究を実施する。①量子もつれ光の発生確認,②量子もつれ光を用いた奥行き方向の異なる画像取得の実現とそれによる物体の複素振幅情報の測定を実証する。③得られた複素振幅情報を用いて光波伝搬計算を計算機で実施することで断層画像を復元し,3次元再構成像を得る。本年度は,過程①の量子もつれ光の発生手法の確立に取り組んだ。量子もつれ光の発生方法として代表的なものに一軸結晶であるBBO結晶を用いた自発的パラメトリック下方変換(SPDC)がある。特徴として量子もつれ光子対が真円上に生成されることが挙げられる。量子もつれ光の出力強度を大きくするために,二軸結晶であるBiBO結晶を用いたSPDCがある。BiBO結晶を用いたSPDCは,楕円状に量子もつれ光子対が生成されるが,その二次非線形光学定数の大きさから,高輝度な量子イメージングへの応用が期待されている。はじめに高輝度な量子イメージングの実現に向けて,BiBO結晶を用いた量子もつれ光を発生させ,その性能を評価するためにEMCCDを用いた並列強度相関測定を行い,光源や測定方法に対する評価を行った。実験ではType-I位相整合によるSPDCによって,波長405 nmの光子から波長810 nmの量子もつれ光子対が生成される仕様とした。結晶面に対するフーリエ変換面にEMCCDを配置して得られた光子分布を用いて,強度相関関数を計算することにより,二光子の運動量の相関について測定した。72万枚の光子分布画像から得られた強度相関関数を評価した結果,光子対の相関を得られる場所があることを確認した。しかしながら,光子検出のムラにより相関が検出されない場所もあるため,光学系や測定方法に対する更なる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は,量子もつれ光の発生方法の確立と,EMCCDによるフォトンカウンティング検出を用いた並列強度相関測定を行い,量子もつれ状態の高速検出技術を確立することであった。BBO及びBiBO結晶を用いた量子もつれ光の発生については確認できた。また,EMCCDによるフォトンカウンティング検出を用いた並列強度相関の実験システムを構築した。これにより,次年度に過程②以降に移行することが可能である。しかしながら,相関結果については完全に量子もつれ光子対が検出される状態までは達成できていないため,実験系の改良が必要である。そのため,(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,今年度に構築した量子もつれ光の発生システムを用いて,②量子もつれ光を用いた奥行き方向の異なる画像取得の実現とそれによる物体の複素振幅情報の測定を実証する。具体的にはフォトンカウンティング画像から強度輸送方程式を用いて,位相分布を抽出する。次に③得られた複素振幅情報を用いて光波伝搬計算を計算機で実施することで断層画像を復元し,3次元再構成像を得る。さらに量子もつれ光の3次元イメージング手法の特徴を調べる。特に,古典光をノイズ光として用いた場合に,量子もつれ光の特性によりノイズを低減した計測が可能であることを検証する。また,量子もつれ光を用いた3次元イメージングのシミュレーション技術を確立し,これをもとに性能評価を行う。さらに,少ない計測回数で3次元画像取得を行うため,深層学習などの機械学習を取り入れることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品等については予定通りに執行した。消耗品等について実験システムの構築並びに計測実験を行なったが,今年度得られた結果から次年度の実験系の改良に消耗品が必要であることから10万円強を繰り越すことにした。次年度の予算と合わせて実験系の改良に努めて,研究計画に沿って研究を実施する。
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