研究課題
今年度はクロスバー型2次元量子ドットアレイ試料の作製を行う計画であったが、使用する電子線蒸着装置および原子層堆積装置の導入が想定より遅れてしまい、完成には至らなかった。そこで今年度は試料作製の準備と並行して、次年度以降に予定している極低温下での実験に向けて高周波同軸ケーブルの追加等の準備を進めるともに、クロスバー型2次元量子ドットアレイの電荷状態制御の数値シミュレーションに取り組んだ。3行3列アレイについて、任意の静電結合パラメータに対して電荷状態のシミュレーションを行うプログラムを作成した。今後はシミュレーションをより大きなアレイに拡張し、制御方法の検討に利用する予定である。また、本研究ではクロスバー型2次元量子ドットアレイで有用なスピン量子ビット測定法として、スピン情報を電荷情報に変換した後、電荷情報のみを電荷計近傍まで輸送することで高精度にスピンを読み出す、独自のスピン測定法をすでに考案している。この手法を用いて、クロスバー型2次元量子ドットアレイでスピン測定を行うことを最終年度に計画しており、今年度はそれにさきがけて1次元量子ドットアレイを用いて同スピン測定法の原理実証実験に取り組んだ。しかし、新規スピン測定法ではリザーバーとそれに接している量子ドットとの間のトンネルを抑制する必要があり、そのため1次元の小規模量子ドットアレイにおいてもスピン測定条件への調整が困難であり、スピン測定の実証には至らなかった。
3: やや遅れている
クロスバー型2次元量子ドットアレイ試料の作製に使用する電子線蒸着装置および原子層堆積装置の導入が想定より遅れてしまい、完成には至っていない。また、1次元の小規模量子ドットアレイを用いたスケーラブルなスピン測定法の実証実験において、スピン測定条件への調整を達成できず、次年度への持ち越しとなっている。
クロスバー型2次元量子ドットアレイ試料の作製を行い、極低温下で動作の均一性や再現性の評価、および電荷状態制御を行う。並行して、大規模アレイにおけるスピン測定のための新規調整法の検討も進める。
2023年度は試薬等の消耗品に使用する計画であったが、試料作製用装置の納品が年度後半になってしまったため使用しなかった。当初計画で2024年度に任意波形発生器の購入を予定していたが、価格が高騰してしまったため、繰越分と合わせて購入する予定である。
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