研究課題/領域番号 |
23K17801
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00323478)
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研究分担者 |
篠原 慶規 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10615446)
ゴメス クリストファー 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (20800577)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 溶岩ドーム / 降雨 / 地形計測 / 土砂流出 |
研究実績の概要 |
2023年度は,まず雲仙砂防管理センターに蓄積された各種のデータの入手とクオリティチェック,解析を行った.GBSARによる溶岩ドームの変位データは複数ブロックに分かれて取得されているが,データの時系列解析により,それらがいくつかのグループに分類できることと,そのグループが概ねドーム上の位置の違いに対応していることが分かった.異なる時期に形成されたローブによって降雨時に生じる変位が異なることを示唆しており,重力変形によって,ドーム全体としてはGBSARとの距離が近くなっているのに対して,明確な負の値(GBSARから遠ざかる方向の変位)を示すブロック群が検出され,溶岩ドーム内部にすべり面が存在することが示唆された. 現地調査においては,溶岩ドーム周辺に複数の雨量計を設置した.今後,アメダス観測点のデータの時系列変化に対して,空間分布の変化が系統的に得られるかどうか,機械学習を用いて検討を行っていく. また,溶岩ドームの3次元の変位を明らかにするため,UAV(無人航空機)による測量を試みた.しかしながら,UAVの墜落(雲仙砂防管理センター設置の監視カメラ映像から,バードストライクが原因と推定された)でレーザー計測による測量がかなわなかった.機体の捜索と修理に時間を取られたが,対象地付近では,大型ドローンがバードストライクで墜落した事例が他にもあることが判明したため,遠隔地からのUAVの自動航行によるレーザー測量から方針を変更し,溶岩ドームに登山したうえで,小型のUAVを用いた目視範囲内の写真測量を行うこととした.手続きを含めて,これらに時間を取られたため,溶岩ドームの測量は次年度に持ち越すこととなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ解析から作業仮説を支持する結果が得られつつある点で概ね順調であるが,前述のように,UAVを用いた溶岩ドームの撮影が実施できなかったため,溶岩ドームの3次元の変位の検討や,溶岩ドームのクラックの特定,ドームの表面温度の空間分布を用いた解析が次年度に持ち越しとなっている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,計画に沿って研究を実施していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
UAVの墜落が10月に生じたため,その後の手続(溶岩ドーム登山の許可)や機体捜索,回収機体の修理に時間を取られ,それに伴う方針変更(:冬季には溶岩ドームへの登山が行えない)により現地調査や,それに関わる一部の費用を次年度に持ち越すこととした.
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