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2023 年度 実施状況報告書

鉄鋼材料の強度-延性のトレードオフ関係脱却への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 23K17815
研究機関金沢大学

研究代表者

古賀 紀光  金沢大学, 機械工学系, 准教授 (30735923)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワードパーライト鋼 / 強度 / ラメラ配向 / 高温圧縮 / 延性
研究実績の概要

パーライト鋼のラメラ配向制御法の確立のために、高温下のオーステナイト相状態で種々の圧縮加工を施した後にパーライト変態させた試料を作製した。
パーライト変態が生じる直上の温度である750℃で降伏応力を付与しながら1K/sで冷却した試料と応力を付与していない試料を作製した。本試料についてラメラ配向の三次元解析を行ったところ、圧縮軸に対して平行方向のラメラ配向が集積する傾向にあった。
次いで、オーステナイト相が再結晶可能な950℃で90%圧縮加工を行った後に、650℃でパーライト変態を行った試料と圧縮加工を行わずに同条件でパーライト変態を行った試料を作製した。これらの試料について、パーライト鋼の強度と強い相関が認められているラメラ間隔を評価したが、圧縮加工の有無に関わらずラメラ間隔は同じであった。一方で、ラメラ配向は、圧縮加工を施していない試料ではランダムだったのに対して、圧縮加工を施した試料では、圧縮軸に平行なラメラ配向の集積が大きかった。また、その集積量は、降伏応力を負荷しながらパーライト変態させた試料よりも2倍以上大きかった。
以上から高温下で加工を施すことでラメラ配向が制御できること、その条件によってラメラ配向の集積量を変化させらえること、強度特性と強い相関を示すラメラ間隔と独立してラメラ配向が制御可能であることがわかった。つまり、今後これらの試料を引張試験に供することで、ラメラ配向が力学特性に与える影響を明確にできる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

熱間加工によってパーライト鋼のラメラ配向制御が可能であることが示された。さらに、その加工条件によってラメラ配向の集積量が変化することもわかった。これらの結果は、ラメラ配向制御の基礎的な知見を与えるものであり、当初目標であったパーライト鋼のラメラ配向制御法の確立をおおよそ達成できたといえる。

今後の研究の推進方策

当初予定通り、得られたラメラ配向を制御したパーライト鋼について引張試験を行い、その力学特性を評価する。これらの試料は、ラメラ間隔が同一としながらラメラ配向のみを変化させているため、ラメラ配向による力学特性の変化を明確化できる。

次年度使用額が生じた理由

充分な成果が得られたため、予定していた実験を一部実施しなかったため、次年度使用額が生じた。これらについては、次年度の消耗品の購入などに充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Strength-Electrical Conductivity Balances of Cu/Martensite Steel Multilayered Sheets with Various Volume Ratios2024

    • 著者名/発表者名
      Ryusei Kato, Norimitsu Koga, Chihiro Watanabe
    • 雑誌名

      Materials Transactions

      巻: 65 ページ: 205-211

    • DOI

      10.2320/matertrans.MT-M2023145

  • [雑誌論文] Quantitative Analysis of Three-Dimensional Lamellar Alignment in Pearlitic Steel With Various Pre-processing Using Semi-automatic Habit Plane Analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Norimitsu Koga
    • 雑誌名

      Metallurgical and Materials Transactions A

      巻: 54 ページ: 4966-4975

    • DOI

      10.1007/s11661-023-07217-3

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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