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2023 年度 実施状況報告書

チタニアガラス薄膜中の欠陥制御による機能性表面の創成と高光活性材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K17817
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

田村 友幸  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90415711)

研究分担者 烏山 昌幸  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40628640)
本田 光裕  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50749504)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
キーワード光触媒 / アモルファス
研究実績の概要

本課題で実施する「チタニアガラス薄膜中の欠陥制御による機能性表面の創成と高光活性材料の開発」のために,本年度は,以下の4項目を遂行した.
(1)薄膜中の酸素欠陥が及ぼす影響の解明: 実験においてアモルファス表面では結晶表面よりも触媒活性が高く,親水性も高くなった.そこで,アモルファス表面モデルとAnatase結晶(101)表面モデルにおける水分子の吸着エネルギーを計算した.すでに,単一水分子ではアモルファス表面の方が吸着エネルギーが大きく,水分子が吸着しにくいという結果を得ていた.今年度は,複数水分子の計算を実施した.水分子同士の相互作用,TiO2の表面内部における酸素空孔欠陥の影響をそれぞれ考慮したが,単一水分子と同様の傾向を得た.よって,これらの計算モデルでは実際の材料の表面における環境を正しく表現できておらず,別の要素を加えて検証することが必要である.
(2)表面分子の化学反応の解明: アセトアルデヒドと水分子が共存するモデルを作成し,様々な荷電状態での第一原理分子動力学シミュレーションを行った. この結果, アセトアルデヒドが酢酸を経由して分解される経路を特定した.また,分解には電子ではなく正孔が寄与していることが明らかになった.
(3)酸化チタン薄膜及び表面アモルファス構造欠陥の制御: 異なる条件(温度、雰囲気ガス)で前処理を施すことで、酸素空孔にトラップされた電子対により生成する欠陥種(F、F+センター)の相対密度が変化させて,欠陥種が活性に及ぼす影響を調べた.
(4)表面吸着分子の安定構造探索コードの開発: 表面吸着分子の安定構造の探索は,膨大な空間での探索問題であり,情報科学のベイズ最適化の技術を導入して,劇的な効率化を図った.記述子を実空間座標から分子を中心とした原子環境に変更することで,探索回数を劇的に削減できることが明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「表面吸着分子の安定構造探索コードの開発」は概ね達成されたと考えている.「チタニアガラス薄膜中の酸素欠陥が及ぼす影響の解明」については実験と計算で不一致があり,今後は,計算モデルに含まれていない因子を検討する.「表面分子の化学反応の解明」は実験に先行して反応過程を捉えており,今後は実験測定でその妥当性を検証する.

今後の研究の推進方策

(1)薄膜中の酸素欠陥が及ぼす影響の解明: 実験でのTiO2材料の表面状態を正しく表現するために含める因子として,最表面における酸素空孔欠陥があげられる.最表面の酸素空孔欠陥には水分子などが容易に吸着することが考えられ,それらが解離すると表面状態が変化する.したがって,水分子の吸着のしやすさが大きく変化する可能性がある.また酸素空孔欠陥について,分布や形成のしやすさ,新たに形成される酸素欠陥準位の位置などをさらに詳しく調べることで電荷分離・電荷輸送にどのような違いをもたらすかについても明らかにし,触媒活性を高める要因についても検討する.
(2)表面分子の化学反応の解明: 昨年度アセトアルデヒドが酢酸を経由して分解される経路を特定したが,その妥当性を検討するために,赤外吸収分光の実験測定とシミュレーションを行い,比較する.また,NEB法を用いて反応経路の活性化エネルギーを算出することで,アセトアルデヒドの分解過程の律速を特定し,触媒活性向上を目指す.
(3)酸化チタン薄膜及び表面アモルファス構造欠陥の制御: 欠陥構造を含む薄膜結晶及び表面の電子状態を特定するために,透過型電子顕微鏡観察による電子エネルギー損失分光法(EELS)による分析を行う.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] アモルファスTiO2表面における光触媒活性に関する第一原理計算2024

    • 著者名/発表者名
      田村蒼太、加藤資康、田村友幸、本田光裕
    • 学会等名
      第28回光触媒シンポジウム
  • [学会発表] 酸化チタン薄膜の酸素欠損と光触媒効果の相関2024

    • 著者名/発表者名
      本田 光裕、田村 友幸、加藤 資康、落合 剛、後藤 敬典、市川 洋
    • 学会等名
      第28回光触媒シンポジウム
  • [学会発表] ベイズ最適化による材料表面吸着分子の安定構造探索2023

    • 著者名/発表者名
      野上 将吾、田村 友幸
    • 学会等名
      第33回日本MRS年次大会
  • [学会発表] アモルファスTiO2表面における光触媒活性に関する第一原理計算2023

    • 著者名/発表者名
      田村 蒼太, 田村 友幸
    • 学会等名
      第54回ガラス部会夏季若手セミナー
  • [学会発表] 液相析出法による異種元素添加酸化チタン光触媒の合成とメタン分解への応用2023

    • 著者名/発表者名
      本田 光裕、吉井 祐作、岡山 誠史、市川 洋
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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