研究課題/領域番号 |
23K17838
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
庄司 衛太 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20780430)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 光計測 / 振動流 / 分離 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は,流体内に存在するゆらぎを増幅することで振動流を生成し,この振動流の振幅と位相の調整により,流体内成分の分離効果を発現させることである。研究期間内には,音波によって混合気体の分離を可能とする装置製作および測定機器の整備による分離効果の原理検証,音場や分離場のin situ観測を実現する光計測技術の開発の二項目を中心に研究を遂行する。本年度に得られた成果は以下である。 1. 分離装置の製作と分離効果の実証 金属配管,スタック,ラウドスピーカーから構成され,試料採取口や圧力トランスデューサ設置口を備えた分離装置のプロトタイプを製作した。本装置では,二つのラウドスピーカーを用いることで装置内音場の管軸方向の位相と振幅を調整可能とした。生成された音場の位相と振幅は,two-sensor法によって測定した。また,音響理論に基づき対象装置をモデル化し,流速と圧力の分布を予測可能なシミュレーションモデルを構築した。これらtwo-sensor法による測定結果とシミュレーション結果を比較し,シミュレーションモデルの妥当性を確認できた。 2. 位相シフト光干渉計の開発と分離場の観測 管内の振動場を観測する光計測技術として,偏光カメラを導入した位相シフト光干渉計を開発した。その有効性を確認するために,空気が封入された光学セル内に音波を生成し,開発した位相シフト光干渉計を用いて音場の密度,圧力,温度といった各種物理量の時空間分布を測定した。さらに,測定データを高速フーリエ変換(FFT)解析することで,局所的な振幅と位相の分布を測定した。これら測定データは熱音響理論と良い一致を示したことから,音場計測に対する位相シフト光干渉計の有効性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
分離装置のプロトタイプの製作とともに,混合気体の分離装置の設計・開発の基盤となる測定機器の整備やシミュレーションモデルの構築を進めることができた。また,本基盤に基づき,分離装置の改良および分離効果の原理検証につながる実験にも着手できている。さらに,位相シフト光干渉計の開発を終え,その音場計測に対する有効性を示すことができた。以上を鑑み,上記の達成度と考えた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に整備した設計・開発基盤に基づき分離装置の構造,生成する音場,使用気体を定め,分離効果の実証実験を進める。さらに,位相シフト光干渉計による分離効果の観測用装置を開発し,初年度に測定した圧力,温度のみならず濃度を反映した密度場の観測を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分離装置および位相シフト光干渉計の開発において効率的に予算を使用できたため。また,次年度以降実施予定の実験に対し,得られた結果から臨機応変に物品購入を進めることがより効率的な研究遂行につながると判断したため。
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