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2023 年度 実施状況報告書

細胞内抗体医薬実現のための基盤技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K17854
研究機関国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所

研究代表者

河原 正浩  国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ヘルス・メディカル微生物研究センター, プロジェクトリーダー (50345097)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
キーワード細胞内抗体 / キメラ蛋白質 / シグナル伝達
研究実績の概要

これまでに、蛋白質間相互作用スクリーニング法として、Ras/MAPK経路を活性化するSOS、および膜アンカリング配列をそれぞれ標的蛋白質に連結した2種類のキメラ蛋白質を細胞に遺伝子導入して安定発現させ、標的蛋白質間相互作用依存的に膜局在によって増殖シグナルを伝達させるSOLIS法の開発に成功した。このSOLIS法を用いて、細胞内抗体選択ができるかについて、いわば理想的な抗原である緑色蛍光蛋白質GFPと抗GFP細胞内抗体VHHを標的蛋白質のペアとして用いて実証することにも成功した。しかし、SOLIS法による細胞内抗体選択が、構造が不安定で発現量も低いことが想定される疾患抗原に適用できるかは未知数であった。そこで本年度は、過去に論文で公開されている疾患抗原と細胞内抗体のペアについて、以下の前提のもとで設計するキメラ蛋白質に組み込み、細胞増殖によって抗原抗体相互作用を検出できるかを検証した。本研究で開発しているSOLIS法による細胞内抗体選択においては、概念実証で用いた理想的な抗原であるGFPと実際の疾患抗原は、細胞内での局在や凝集性、可溶性などの観点で全く異なる性質が予想され、プローブとなるキメラ蛋白質の発現量や、抗原-抗体相互作用時の配向性について、詳細な基礎検討を要する。そこで本年度は、4種類の配向性を持ったキメラ蛋白質を構築し、抗原-抗体相互作用の検出感度を系統的に比較した。その結果、配向性の違いによって検出感度の相違は見られるものの、疾患抗原とそれに対する細胞内抗体クローンの特異的な相互作用が検出できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、SOLIS法による細胞内抗体選択が疾患抗原に適用できるかどうか検証することが目標であった。実際に、キメラ蛋白質の配向性の違いによって検出感度の相違は見られるものの、疾患抗原とそれに対する細胞内抗体クローンの特異的な相互作用が検出できたことから、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

SOLIS法によって、抗体ライブラリーから疾患抗原に対する特異的な細胞内抗体クローンが得られるかどうかを検証する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は既存の入手済の試薬等で賄う形で研究を進めることができた。次年度に抗体ライブラリー選択の実験で試薬等が大量に必要となるため、生じた次年度使用額を活用して研究を進展させたい。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Synthetic receptor scaffolds significantly affect the efficiency of cell fate signals2024

    • 著者名/発表者名
      Umene Kirato、Kawahara Masahiro
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 ページ: 5801

    • DOI

      10.1038/s41598-024-56612-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Phenotypic screening of signaling motifs that efficiently induce cell proliferation2023

    • 著者名/発表者名
      Umene Kirato、Nagamune Teruyuki、Kawahara Masahiro
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 15639

    • DOI

      10.1038/s41598-023-42378-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] キメラ受容体の分子構築:バイオセンサーから細胞運命制御まで2023

    • 著者名/発表者名
      河原 正浩
    • 雑誌名

      バイオ部会ニュースレター(化学工学会バイオ部会)

      巻: 58 ページ: 17~22

  • [雑誌論文] Interview 1:バイオ系のキャリアデザイン(就職支援OG・OBインタビュー編)2023

    • 著者名/発表者名
      河原 正浩
    • 雑誌名

      生物工学会誌

      巻: 101 ページ: 556~557

    • DOI

      10.34565/seibutsukogaku.101.10_556

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] キメラ受容体の研究継承者として2023

    • 著者名/発表者名
      河原 正浩
    • 雑誌名

      上田宏の思い出 生物化学工学研究フロントランナー

      巻: - ページ: 181~185

  • [学会発表] 細胞形態情報解析を用いた浮遊系細胞の機能性評価技術2024

    • 著者名/発表者名
      竹内宏彰、後藤浩之、久田拓海、田中健二郎、河原正浩、加藤竜司
    • 学会等名
      第23回日本再生医療学会総会
  • [学会発表] ヘテロダイマー型人工受容体の開発2024

    • 著者名/発表者名
      河原正浩、コンクローントーン タットポーン
    • 学会等名
      化学工学会第89年会
  • [学会発表] 細胞形態情報解析を用いた浮遊系細胞の機能性評価2024

    • 著者名/発表者名
      竹内宏彰、後藤浩之、久田拓海、田中健二郎、河原正浩、加藤竜司
    • 学会等名
      化学工学会第89年会
  • [学会発表] キメラ受容体の分子構築:バイオセンサーから細胞運命制御まで2023

    • 著者名/発表者名
      河原正浩
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 細胞運命を操作する人工受容体の設計2023

    • 著者名/発表者名
      河原正浩
    • 学会等名
      第75回日本生物工学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] タイプIサイトカイン受容体の改変によるシグナル伝達能の設計2023

    • 著者名/発表者名
      河原正浩、中嶋恭子
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] Construction of the designer c-KIT for arbitrarily controlling signal transduction properties2023

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Kawahara, Tatphon Kongkrongtong
    • 学会等名
      JAACT2023
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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