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2023 年度 実施状況報告書

有機結合型トリチウム形成現象を利用した新しいトリチウム分離・固定化技術の原理実証

研究課題

研究課題/領域番号 23K17897
研究機関九州大学

研究代表者

片山 一成  九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90380708)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワードトリチウム / 水生植物 / 有機結合型トリチウム / 同位体交換
研究実績の概要

水分吸収とともに植物内に取り込まれたトリチウムは、光合成を経て有機結合し、安定的に滞留することが知られている。本研究では、この現象を利用して水からトリチウムを分離・固定化する革新的な分離技術の原理実証を目的とした挑戦的な研究である。初年度は、重水を用いて下記の内容を実施した。
(1)水生植物育成装置の整備と重水実験:透明水槽、LEDライト、空気供給ポンプ、砂ジャリなど水草を育成するための装置を整備し、アナカリスを試料植物として、10%濃度の重水中で8日間の育成を実施した。
(2)重水素分析装置の整備と植物中重水素測定:アナカリスに捕捉された重水素量を定量分析するための装置を整備した。採取した水草を石英管に充填し、スクロールポンプを用いた真空乾燥、空気を導入した空気乾燥を行った。排出されるガスを軽水バブリングすることで、重水蒸気を軽水中に捕捉した。最後に、酸素・アルゴン混合ガスを流通させながら600℃まで加熱し、燃焼により放出される重水蒸気も同様に回収した。軽水中の重水素濃度測定には、疎水性白金触媒を用いた同位体交換法を利用した。試料水を密閉容器内で加熱して、気化させた後、軽水素パージを行い、触媒塔において、HDOとH2とを反応させ、HDに転換してガスクロマトグラフで測定することに成功した。異なる濃度の重水を準備し、検量線を作成した。一般的に、植物中の非同位体交換型トリチウムは、全保持量の1%以下と言われているが、本実験で得られたアナカリス中の非同位体交換型重水素保持割合はこれよりも高い傾向がみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、重水中での水草の育成を実行し、水草に保持された重水素分析手法を構築するなど、一定の成果を挙げることができた。現時点では特に大きな問題は存在せず、当初の目的に沿って進められていることからおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

重水を用いた実験を継続しつつ重水素定量精度の向上を図るとともに、トリチウム水を用いた実験に向けて、準備を進めていく予定である。九州大学アイソトープ総合センター伊都地区実験室内に、新たな実験設備を構築するための準備を進める。

次年度使用額が生じた理由

本研究は挑戦的なものであり慎重に実験を進めるため、まずは出来る限り現有の資源を用いて、実験設備を構築しデータ取得を行った。一方、既存の測定機器が故障するなど当初予定していなかった経費が必要となった。当該助成金については、重水実験設備を高度化するための経費、トリチウム実験用装置製作経費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Evaluation of deuterium amount retained in water plant grown in heavy water2023

    • 著者名/発表者名
      Yang ZONGLIN, Kazunari KATAYAMA, Yutaro WADA, Michael PORTUPHY, Kanta ASAO
    • 学会等名
      日本原子力学会2023年秋の大会
  • [学会発表] 重水中で成長した水草に取り込まれた重水素量評価2023

    • 著者名/発表者名
      楊 宗霖
    • 学会等名
      日本原子力学会2023年秋の大会_ポスター発表
  • [学会発表] 重水中で育成された水草への重水素蓄積量評価2023

    • 著者名/発表者名
      片山一成,和田優太郎,楊宗霖,PORTUPHY MICHAEL OFOTSU,井上ヒカリ
    • 学会等名
      プラズマ・核融合学会第40回年会

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公開日: 2024-12-25  

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