研究課題/領域番号 |
23K17911
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | アライン / 光反応 / 化学修飾 / トリアゼン |
研究実績の概要 |
本研究は、タンパク質の化学修飾速度を革新的に向上させることで、今まで適用不可であった変性しやすいタンパク質の化学修飾を実現することを目指している。このために、タンパク質のアミノ基などの高極性部位と高い反応性を示しつつも、水中で取り扱うことのできる低極性な高反応性化学種として、大きな環歪みを有するアラインに着目した。本研究ではアラインを水中で発生させる手法を開発し、これをタンパク質化学修飾に適用することで、比類なき速度で化学修飾を完結させる手法の確立を目的とするものである。本年度は、アラインを発生させる前駆体としてトリアゼニル基とボリル基を有する芳香族化合物に着目し、その適用可能性を2つの点から検証した。まず、我々が有する予備的知見に基づき、前駆体構造とアライン発生の相関を、様々な置換基を有するトリアゼン誘導体を用いて検証した。その結果、トリアゼン3位窒素上の置換基は反応性に大きな影響を与えないこと、また芳香環およびホウ素置換基の構造はアライン発生効率に大きな影響を与えることが明らかになった。さらに、アライン発生を加速するもう一つの戦略として、光増感剤の添加を試みた。これに適したアライン前駆体の合成を達成し、複数の光増感剤を添加して検討を行ったが、顕著な加速効果は見られなかった。この結果は、光増感剤とアライン前駆体の会合比が十分に高くなかったためと考えられる。これらの結果を今後の分子設計に活かしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた研究内容を予定通り遂行し、アライン発生速度の制御が可能であることを示唆する結果を得たことから、概ね順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた構造反応性相関の情報をもとにアライン前駆体の化学構造を最適化し、脂肪族アミンとの反応性を定量する。その知見を元に、モデルであるペプチドの化学修飾を行うことで、本手法で実現できる化学修飾速度を明らかにする。光増感剤を用いる戦略については、アライン前駆体と一体化した分子を合成して、その有効性を明らかにするとともに、良い結果が得られた場合にはペプチドの化学修飾への適用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の主要な計画は、多種類のアライン前駆体の設計・合成であったため、多くの合成用試薬・溶媒と精製資材などの消耗品の購入を見込んでいた。検討の結果、当初予想していたよりも順調に設計した化合物の合成を行うことができたため、それらの購入量が少なくなり、次年度使用額が生じることになった。次年度は引き続き設計した化合物の合成を進めるとともに、質量分析など、多くの費用が必要となると考えられる分析・解析実験が増加することが予想されるため、次年度使用額をこれらに充当することで効率的に研究を進める予定である。
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