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2023 年度 実施状況報告書

超分子ポリマーの材料化に向けた新機軸

研究課題

研究課題/領域番号 23K17941
研究機関京都大学

研究代表者

杉安 和憲  京都大学, 工学研究科, 教授 (80469759)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
キーワード超分子ポリマー / 階層構造
研究実績の概要

モノマー分子が水素結合などの弱い分子間相互作用で連結された 分子集合体は,「超分子ポリマー」と呼ばれ,容易にリサイクルできる新材料として大きな期待が寄せられている。しかしながら,超分子ポリマーを既存の高分子材料のように成形・加工するプロセスは全く確立されていない。その原因のひとつに,分子レベルからバルク材料にいたる10の7乗倍にもおよぶスケール階層性において,超分子ポリマー間の相互作用を精密に制御し,材料化につなげる方法論が開拓されていないことが挙げられる。
本研究では,超分子ポリマー間の相互作用を制御するための分子設計指針を示し,続いて, 超分子ポリマーの濃厚溶液を調整, そのレオロジー測定等の物性研究を通じて,最終的には,得られた知見を活かして,超分子ポリマーのプロセスと材料化を目的とする。
昨年度までにトリフェニレン誘導体のモノマーからなる超分子ポリマーに関して、モノマー外周部に長さの異なるアルキル鎖を導入し、超分子ポリマーの界面を乱雑にすることによって、超分子ポリマー間の凝集の軽減できることを明らかにしていた。今年度は、ポルフィリン誘導体を用いた同様の実験を行い、本申請課題で提案する分子設計指針が一般性のあるコンセプトであることを実証した。
さらに、溶液状態のみならず、溶融状態における超分子ポリマーの集合構造いついても研究を進めた。これは、申請の段階では計画していたことではなく、今年度の実験途中で発見した超分子ポリマーの高次構造形成から着想を得て展開したものである。非常に興味深いことに、共有結合性の高分子で一般的に見られる球晶構造が、超分子ポリマーにおいても形成されることがわかった。さらに、等温結晶化の条件によって、球晶の成長を制御し、超分子ポリマーの接着特性を制御できることを明らにとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本申請課題で提案している分子設計指針の一般性を明らかにした。さらに、当初の計画にはなかった、溶融状態での超分子ポリマーの形成機構について新たな知見を得た。これらの成果によって超分子ポリマーのプロセスと材料化が大きく進展する可能性がある。

今後の研究の推進方策

今年度は、超分子ポリマーの溶液状態と溶融状態の両方に関して実験を進めることとした。共有結合性の高分子においては、溶液・溶融プロセスの両方において、様々な手法が確立されている。これらを超分子ポリマーのプロセスに流用できるかを見極め、超分子ポリマーの材料化への道筋をつける。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Multistep, site-selective noncovalent synthesis of two-dimensional block supramolecular polymers2023

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Norihiko、Kikkawa Jun、Ishii Yoshiki、Uchihashi Takayuki、Imamura Hitomi、Takeuchi Masayuki、Sugiyasu Kazunori
    • 雑誌名

      Nature Chemistry

      巻: 15 ページ: 922~929

    • DOI

      10.1038/s41557-023-01216-y

  • [雑誌論文] Two‐Dimensional Living Supramolecular Polymerization: Improvement in Edge Roughness of Supramolecular Nanosheets by Using a Dummy Monomer2023

    • 著者名/発表者名
      Jin Zhehui、Sasaki Norihiko、Kishida Natsuki、Takeuchi Masayuki、Wakayama Yutaka、Sugiyasu Kazunori
    • 雑誌名

      Chemistry ? A European Journal

      巻: 29 ページ: e202302181

    • DOI

      10.1002/chem.202302181

  • [雑誌論文] Spherulites of supramolecular polymers formed from undercooled melts, and their adhesive properties2023

    • 著者名/発表者名
      Shimada Takuma、Watanabe Yuichiro、Furuya Tsutomu、Nishida Koji、Samitsu Sadaki、Wakayama Yutaka、Sugiyasu Kazunori
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 53 ページ: upad030

    • DOI

      10.1093/chemle/upad030

  • [学会発表] Two-dimensional supramolecular polymerization2023

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Sugiyasu
    • 学会等名
      2023 Monash University-Kyoto University Joint Symposium on Polymer Science
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Multistep syntheses of supramolecular polymers2023

    • 著者名/発表者名
      杉安和憲
    • 学会等名
      2023年度 ナノ構造・物性―ナノ機能・応用部会 合同シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 多段階自己集合による2次元ブロック超分子ポリマーの合成2023

    • 著者名/発表者名
      杉安和憲
    • 学会等名
      日本化学繊維研究所 第81回講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] ブロック超分子ポリマーの合成と分解2023

    • 著者名/発表者名
      杉安和憲
    • 学会等名
      第72回高分子討論会

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公開日: 2024-12-25  

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