研究課題/領域番号 |
23K17947
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
家 裕隆 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80362622)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ホッピング伝導 / 分子ワイヤ / 分子エレクトロニクス / 有機半導体 / π共役分子 |
研究実績の概要 |
構造が明確な共役オリゴマーは、単分子エレクトロニクスにおける分子ワイヤの機能が期待されている。鎖長の短い共役オリゴマーの分子内電気伝導はトンネル伝導であるのに対して、数ナノメートル以上の長鎖分子では、分子内の局在化した電子準位である“ホッピングサイト”を電荷が飛び移るホッピング伝導に遷移することが知られている。しかし、長鎖分子の分子設計と有機合成の困難さから、高効率のホッピング伝導をもつ共役オリゴマーは開発途上である。そこで本研究では、ねじれ構造でホッピングサイトを均質化し、かつ、縮環構造で分子振動に起因する熱的なエネルギーロスを低減させた共役オリゴマーを開発し、ホッピング伝導の高効率化の分子設計指針を確立することを目的として研究を行った。本年度は、高効率ホッピング伝導をもつ共役オリゴマーの創出に注力した。具体的には、ホッピング伝導での分子内電気伝導度(G)を決める活性化エネルギー(Ea)はホッピングサイト間のエネルギー差(ΔE)とホッピングサイトの再配列エネルギー(λ)に相関する。これまでにホッピングサイト間にねじれを導入することでΔEが低減することを見出している。そこで、縮環構造のユニットを用いることで、λも低減させることが可能な分子を設計・合成し、これを繰り返し単位とする数ナノメートルスケールのオリゴマー開発を達成した。さらに、電子吸収スペクトル、サイクリックボルタンメトリー測定からオリゴマーの電子物性を明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおりに分子設計と有機合成が進展し、標的とするオリゴマーを創出することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた分子を用いて、単分子電気伝導評価を実施する。さらに、本研究の二つ目の項目のホッピングサイト間のエネルギー勾配と整流特性の相関解明に適した分子開発へと展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に有機合成や物性評価や高額の単分子電気伝導測定に注力するため
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