研究課題/領域番号 |
23K17982
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
末吉 健志 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70552660)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | アプタマー選抜 / 核酸アプタマー / ミクロスケール電気泳動 / アプタマー選抜用マイクロチップ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,核酸アプタマーの極限的な2サイクル選抜法の開発である。核酸アプタマーとは,標的分子の構造を認識して特異的に結合する配列を持つ核酸の総称であり,人工合成可能で安価,化学的に安定などの利点を持つため,分子認識素子としての利用が期待されている。しかし,既存の分子認識素子として広く利用されている抗体と比較して,核酸アプタマーの獲得難易度は極めて高いため,応用・実用化研究はあまり進んでいない。その改善に向けて,本年度は,これまでに開発してきたミクロスケール電気泳動フィルタリングに基づくアプタマー選抜法(MEFAS)の理論的再構築とマイクロデバイス化に関する研究に取り組んだ。その結果,安価なポリメチルメタクリレート(PMMA)製基板の簡便なレーザー加工によって作製されたMEFAS用マイクロチップを用いて,煩雑な実験操作を省略しつつより短時間で標的タンパク質や細胞外小胞に対するアプタマー候補群を選抜することに成功した。また,より簡便かつ高効率なアプタマー選抜の実現を目指して,標的分子を高分子ゲルの分子ふるい効果によって捕捉する既報の選抜法に加え,高分子ゲルに内包させる新たな選抜法を開発・評価した。さらに,マイクロチップ流路形状の最適化や省サイズ化を進め,より微量の試料でもアプタマーが選抜できるように工夫した。キャピラリー電気泳動-LED励起蛍光検出器を用いた相互作用解析にも取り組み,アプタマー候補群と標的化合物との相互作用評価を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミクロスケール電気泳動フィルタリングデバイスのマイクロチップ化は概ね順調に進んでおり、アプタマー選抜の簡略化・迅速化による大きな社会貢献が見込まれる成果が実りつつある。
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今後の研究の推進方策 |
アプタマー選抜用マイクロチップの完成と評価、ならびに装置化を目指した共同研究の締結など、より大きな社会貢献につながるように取り組んでいきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していた年度内の生体由来試薬納品が間に合わなかったため,高額な測定費用を要する次世代シーケンサーの利用頻度が少なくなった。加えて,配列解析結果から得られる核酸情報について,さらに合成して解析するために必要な高額な試薬および人工核酸合成依頼の量も少なくなってしまったことが主な要因である。
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