研究課題/領域番号 |
23K18027
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
杉浦 真治 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70399377)
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研究分担者 |
山崎 一夫 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (30332448)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 音響擬態 / 警告色 |
研究実績の概要 |
スズメバチ類の黄色と黒色の派手な姿を目にするだけで我々は恐怖を感じる。スズメバチ類の色彩パターンは警告色として、学習を通じてヒトだけでなく様々な動物に忌避されている。そのため、多くの昆虫種はスズメバチ類に類似した体色や体型を有し、巨大な擬態リングを形成している。スズメバチ類の「見かけ」だけでなく、「ブーン」という重厚な羽音を聴くだけでも我々は恐怖を感じるように、スズメバチ類が発する「音」も十分な警告になりうる。つまり、スズメバチ類の「音」に擬態している昆虫類が存在している可能性がある。しかし、そうしたスズメバチ類をめぐる音響擬態の存在はほとんど注目されていない。 本年度の7月下旬から8月上旬にかけて、兵庫県下の樹液に集まるスズメバチ類およびその他昆虫類の観察を行った。日中、樹液にはオオスズメバチのワーカーやその他昆虫類が多数集まっていた。オオスズメバチおよびその他の昆虫類を採集し、生きたまま実験室に持ち帰り、各種が発する音を簡易レコーダーで録音した。サンプリングした音源をPC上で編集し、オオスズメバチとその他の大型昆虫類の音を種名をふせて複数人に聴かせたところ、ほとんど区別することができなかった。つまり、オオスズメバチと同所的に生息する大型昆虫類の発する音は近く、後者は無毒である場合オオスズメバチにベーツ型擬態している可能性がある。しかし、本年度は超音波領域を含む音響解析は行えず、類似度を定量的に解明するためには、本格的な音響機器による録音と解析が必須である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採択・研究費交付時期が遅く、調査対象の昆虫類の発生ピークまでに音響機器をそろえることができなかった。そのため、簡易機器での録音しかできず、詳細な解析ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の冬までに音響機器と解析ソフトをそろえることができたため、次年度には本格的な録音および解析が可能になる。これによって、スズメバチ類と同所的に生息する昼行性昆虫類の発する音を録音し解析することで、スズメバチ類をめぐる音響擬態リングを解明したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中のフィールド調査および録音が十分にできなかったため、次年度に調査旅費として使用予定である。
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