研究課題/領域番号 |
23K18038
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
河地 有木 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 上席研究員 (70414521)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | RIイメージング / PETIS / ポジトロンイメージング装置 / アリの行動 |
研究実績の概要 |
働きアリは餌を腹内に蓄えて持ち帰り、巣内の仲間に口移しで栄養を分配する社会的な利他的行動が知られている昆虫である。アリはこの栄養交換を通じて巣内の栄養需給バランスを把握し、巣外の採餌行動やコロニーの飢餓耐性に影響を与えると考えられている。直接見ることができない巣内のこのようなアリの営みを捉える技術を開発し、アリの行動を可視化するため、以下の手順でRIイメージング実験による評価試験を行った。 手順を以下に示す、 (1)餌の価値の違いによる行動変化を捉えるため、炭水化物およびタンパク質が主成分となる餌にRIを混ぜ合わせてRI標識餌を作成。RIは400 kBq程度のNa-22を使用した。(2)一匹のアリにRI餌を与えて巣内に戻し、巣内で栄養交換させ、分配・拡散させた。(3)地下部の(2)の様子をPETIS(ポジトロンイメージング)装置でリアルタイムにイメージングした。 今後、動画像データに示されるRI餌の分配・拡散を画像解析し、巣内アリの採餌行動の定量数値化に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
RI餌をアリに与える事前試験を行い、口移しによる餌の分配行動を放射線検出器で検出できることを確認し、投与する放射能量を算出できた。これがイメージングの成功に礎となった。イメージング装置は量子科学技術研究開発機構に設置されたポジトロンイメージング装置の使用を想定し、RIによる汚染防止など安全に実験を実施するための補助器具を開発したことも重要なポイントとなった。
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今後の研究の推進方策 |
イメージング実験を繰り返して実施する。さらに画像データの解析を進め、アリの餌食行動を数値化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遮へい材のタングステンのグレードを落としても効果が変化しないことがわかったため、安価に購入できた。
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