• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

リグニンの分子構造改変に伴う個体の生長抑制や矮小化を回避する方法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K18045
研究機関東京農工大学

研究代表者

梶田 真也  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40323753)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワードリグニン
研究実績の概要

独自に作出したリグニンの生合成を変調する遺伝子組換えポプラを複数系統用いて、RNAseqによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。全RNAの回収に使用した組換えポプラは、寒天培地上で試験管内挿し木により株分けした後、閉鎖系温室に移して約2ヵ月間生育 Gさせた。バクテリアに由来する2つの遺伝子とシロイヌナズナに由来する1つの遺伝子を過剰発現させた遺伝子組換えポプラ(Populus tremula × P. tremuloides clone T89株)は、個々に程度の差はあるものの、対照となる非遺伝子組換えポプラと比較して明らかな生育阻害を示した。培養室で栽培した個体でも同様の傾向が見られたことから、これらはリグニンの量や分子構造の変化に生育遅延が再現したものと結論した。一方、他のシロイヌナズナの遺伝子を過剰発現したポプラ(P. tremula ×P. alba, IRNA 717-1B4株)の場合には、リグニンの分子構造に大きな変化が見られたものの、リグニン含有量は対照個体と差異がなく、また生育阻害も見られなかった。以上のとおり、4つの遺伝子を過剰発現させた組換えポプラと、各々の対照個体となる非遺伝子組換えポプラを同一条件で栽培し、それらの茎部から全RNAを回収し、次世代シーケンサーを用いたRNAseqに供した。生育阻害が見られた前3者は野生型T89株のゲノムを対照に、生育阻害のなかった他の1つは野生型717-1B4株のゲノムを対照にマッピングを行った。得られた遺伝子発現情報を元に主成分分析を行ったところ、前3者は第一主成分と第二主成分の片方、または両方で野生型と大きな差異が見られた一方、生育遅延のなかった組換えポプラの遺伝子発現パターンは、野生型との間で明確な差異が認められなかった。現在、どのような種類の遺伝子の発現に違いがあるのかをGO解析などにより進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の大きな目的であったRNAseqを実施し、遺伝子発現解析に目途がついたことによる。

今後の研究の推進方策

得られた遺伝子発現情報を詳細に解析し、生育阻害と相関のある遺伝子、あるいは遺伝子群を特定すると共に、リグニン代謝経路上にある化合物を中心に網羅的な代謝物解析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

RNAseqによる発現解析については、シーケンス解析は終了したものの、遺伝子のアノテーションやGO解析が未完了であり、これらについては2024年度に実施する予定である。また、本年度予算を含めて代謝物の網羅的解析も実施予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] モノリグノールを代替するヒドロキシケイ皮酸類の導入を介した ポプラリグニンの分子構造改変 第68回リグニン討論会2023

    • 著者名/発表者名
      高島航 , 福田早紀子 , 髙田昌嗣 , 坂本真吾 , 上村直史 , 上杉幹子 , 政井英司 , 光田展隆 , 梶田真也
    • 学会等名
      第68回リグニン討論会
  • [学会発表] Effects of overproduction of feruloyl-CoA 6'-hydroxylase on lignin biosynthesis and wood characteristics in transgenic hybrid aspen2023

    • 著者名/発表者名
      Wang N , Takada M , Sakamoto S , Kamimura N , Uesugi M , Masai E , Mitsuda N , Ralph J , Kajita S
    • 学会等名
      第68回リグニン討論会
  • [学会発表] リグニン基本骨格が段階的に異なる遺伝子組換えポプラの リグニン分布および分子構造2023

    • 著者名/発表者名
      寺崎昌海 , 髙田昌嗣 , 上杉幹子 , 梶田真也
    • 学会等名
      第68回リグニン討論会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi