研究課題/領域番号 |
23K18047
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
平井 浩文 静岡大学, グローバル共創科学部, 教授 (70322138)
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研究分担者 |
中村 彰彦 静岡大学, 農学部, 准教授 (20752968)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 白色腐朽菌 / リグニン / 3-ヒドロキシアジピン酸 / バイオリファイナリー |
研究実績の概要 |
(1) 3-hydroxyhex-2-enedioic acid(HEA) CoA transferase遺伝子ノックダウン株の作出 3-ヒドロキシアジピン酸(3-HAA)を高蓄積させるには、Phanerochaete sordida YK-624株が有するHEA CoA transferase遺伝子のノックアウト/ノックダウンが必要不可欠である。今回、本酵素がCoA transferaseであることから、ノックアウトすることで一次代謝系にダメージを与える影響を懸念し、RNAi法によるノックダウンシステムの構築を試みた。本年度は、HEA CoA transferase遺伝子ノックダウンプラスミドの構築に成功した。
(2) HEA reductase(HEAR)の創出 HEARの創出にあたり、AlphaFold により3-hydroxymuconic acid(HMA) reductase(HMAR)の構造予測を行った結果、HEAを還元するためには、HMARの活性ポケットにおいてOH基が入るためのスペースを作る必要が予測された。つまり、HMARにおいて、アミノ酸置換〔 (i) T152S、(ii) L255V or T〕を施す必要が予測されたため、① T152S+L255V、② T152S+L255T、をそれぞれを発現するプラスミドを構築し、大腸菌による異種発現を行った。その結果、(1)及び(2)ともに可溶性タンパク質として取得した。その後、trihydroxybenzene (THB) dioxygenase、HMAR、①もしくは②を混合し、THBより3-HAAが生成するか試験した結果、HEAの生成が確認されたものの、3-HAAの生成は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のコアとなる実験である(1) HEA CoA transferase遺伝子ノックダウン株の作出においては、目的遺伝子ノックダウンプラスミドの構築まで終了しており、もう一つのコアとなる実験である(2) HEARの創出について、活性が発現すると思われる改変酵素の作成まで終了していることから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は(2) HEARの創出について、重点的に研究を展開する。活性型HEARを創出すべく、T152及びL255について、その他のアミノ酸置換を実施し、活性が発現するアミノ酸を網羅的に検索する。その後、活性型HEAR遺伝子及び(1)で作成したノックダウンプラスミドを供試菌に導入し、3-HAAの産生挙動を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に学会発表による出張旅費を計上していたが、学会発表に至る結果が得られなかったため、その分を次年度使用額とした。次年度の学会発表旅費として使用予定である。
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