研究課題
本研究では、黒毛和種去勢牛を21頭(12ヶ月齢)供試し、30ヶ月齢にまで肥育した。肥育前期(13ヶ月齢)、中期(20ヶ月齢)、後期(28ヶ月齢)に血液、ルーメン液および肝組織の採取を行った。血液中の代謝プロファイル、インスリン、コルチゾールおよびIGF-1のホルモン濃度を分析した。採取したルーメン液はpH、アンモニアおよび揮発性脂肪酸の濃度を分析した。実験終了後、全頭出荷し、枝肉成績を得た。肝臓のトランスクリプトーム解析のために、採血時にバイオプシーで採取した肝臓組織からRNAを抽出し、次世代シークエンサーによりRNAシーケンシングを行い、遺伝子発現量を解析した。1)肥育期間中に中性脂肪、遊離脂肪酸は増加し、ケトン体は減少した。血液中のインスリン濃度は肥育と伴い増加した。ルーメン液は肥育後期にてプロピオン酸は高く、酪酸は低くなった。2)肝臓組織のトランスクリポトーム解析により糖代謝に関連するSESN3, INSR, LEPRとFOXO3が、脂質代謝に関連するFADS1と FADS2は下方制御された。肥育期間中のエネルギー摂取量の変化により、エネルギーおよび脂肪代謝に変化が認められ、その代謝調節にインスリンが関わっている可能性が示唆された。3)日増体量、枝肉重量、BMS(Beef Marble Score)、ロース芯面積などの肥育・枝肉成績によって、クラスター分析を行い、 高成績グループと低成績グループに分け、クラスター間において代謝産物、ルーメン液性状、肝臓のトランスクリプトームの比較を行った。高成績グループにおいて肝機能指標であるALT、血中ケトン体とインスリン、ルーメン液中のプロピオン酸濃度が高かった。
3: やや遅れている
サンプリングが少し遅れて、分析と解析が次年度になった。
黒毛和種去勢牛を50頭供試し、前期(13ヶ月齢)、中期(20ヶ月齢)、後期(28ヶ月齢)にメタン産生量の算出と伴に血液、ルーメン液および肝組織の採取を行う。ルーメン液からはマイクロバイオームとメタボローム解析を行い、メタン産生量については個体のCH4推定値から余剰CH4を計算し、メタン産生高グループ(HIGH区10頭)と低グループ(LOW区、10頭)を選定し、生理的パラメーターの比較を行う。
すべてのサンプルについて分析が終了してないことで未使用金額が生じ、次年度に纏めて分析する予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Scientific Reports
巻: 14 ページ: 4923
10.1038/s41598-024-55539-y
Journal of Animal Science
巻: 101 ページ: 1
10.1093/jas/skad198