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2023 年度 実施状況報告書

これまで見逃されてきたシナプス刺激後の“超”初期に終結する遺伝子発現変動

研究課題

研究課題/領域番号 23K18166
研究機関鹿児島大学

研究代表者

奥野 浩行  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80272417)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
キーワード活動依存的遺伝子発現 / 超短期遺伝子発現変化 / 海馬
研究実績の概要

神経細胞において強いシナプス活動によって発現誘導される遺伝子群、いわゆる活動依存的遺伝子は長期シナプス可塑性や神経回路の再編成に必須であり、長期記憶の形成・維持に関わる。最近、我々は強いシナプス刺激を与えたマウス海馬を解析したところ、刺激後5分で有意な発現上昇を示すが30分後にはベースラインに戻る、という超短時間で発現変化が終了する遺伝子が存在することを見出した。刺激後30分以内に遺伝子変化が終結するような遺伝子動態はこれまでまったく報告がない。本年度においてはまず、この超短時間で一過的な発現変化を示す遺伝子群の個々の遺伝子について詳細な検討を行った。これまで得られたトランスクリプトームデータから超短時間で変動する遺伝子のリストを作成し、既存の公開データベースなどを活用することにより遺伝子機能や組織発現様式などに共通性があるかどうかについて調べた。また、この超短期遺伝子発現変化が新たな転写を反映しているかどうかを評価するため、当初は核酸アナログを用いたRun-on解析を計画していたが、専門家との相談の結果、クロマチン上のRNAポリメラーゼの状態を反映する抗リン酸化RNAポリメラーゼII抗体によって共沈降するDNA断片を解析する方法を用いることに計画を変更した。そのため本年度は、まずは培養株細胞を用いてリン酸化RNAポリメラーゼIIのChIP-Seq法の予備検討を行い、刺激依存的な遺伝子領域ゲノムフラグメントの濃縮を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請段階では核酸アナログを用いたRun-on解析を計画していたが検出感度や実験誤差の面から検討した結果、抗リン酸化RNAポリメラーゼII抗体による免疫沈降されるDNA断片を解析する方法を用いることに計画を変更した。RNAポリメラーゼIIはリン酸化される残基によってクロマチン上に留まっているのか、それとも転写中なのかを区別できる(Brahma&Henikoff, Nature Genetics, 2024)。本年度は培養株細胞の核を用いて本方法の条件検討を行い、刺激依存的に転写中の遺伝子が変化することを確認した。また脳組織サンプルから得られる核を用いても解析可能であることを確かめた。

今後の研究の推進方策

今後は条件決定したリン酸化RNAポリメラーゼII-ChIP-Seq法をマウス海馬サンプルに適用し、刺激前、刺激後3分、刺激後5分、刺激後10分、刺激後30分のデータを得る。同時に活性化クロマチン状態や不活性化クロマチン状態を示すヒストンマーカーによるChIP-Seqも実施し、超短期遺伝子発現変化が転写やクロマチン状態の変化を伴うものかどうかを明らかにする。また、高感度ISHによる組織学的解析を開始し、細胞種特異性や脳領域特異性に関する知見を集積する。

次年度使用額が生じた理由

新規合成RNAに関する解析法変更の決定に時間が要したため、実験実施が遅れた。すでに方針は決定したので次年度は当初より研究を速やかに進めることが可能である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 活性化神経レポーターを用いた長期記憶に関わる神経細胞集団の局所および全脳解析2024

    • 著者名/発表者名
      奥野浩行
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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